時は20XX年、吉川 楓は普通の少女だ。と、思われている。
「ちょっと、大丈夫なんでしょうか?」
「おっけおっけー!この僕に任せておきなさい!!」
 それはとある研究所で行われていた。
「この、マッディーでサイエンティストゥーな僕に任せておきなさい。」



機動魔法少女KAEDEさん



 彼の名前は片島京介。この片島研究所の所長だ。
「楓ちゃん。今日から君は機動魔法少女KAEDEちゃんだ!!」
「なんですか?そのどこかのロボットアニメと変身ヒロインアニメを混ぜたような題目は?」
 そのとおりである。機動で魔法なのだ。一体どんな力なのだろう?
 その時、研究所内で警報が鳴る。
「博士!街に怪獣が現われました!!」
 と、助手の月琴 奏が京介に知らせる。
「さぁ、楓ちゃん!これを持って言うんだ!『マジカル、メカニカル!もう、どうにでもなぁれ!』って」
 とっても投げやりな変身文句である。そう言いながら京介は楓に手鏡を渡す。
「は、はい。ま、まじかる、めかにかる、もうどうにでもなぁれ!」
 すると、光を放ち変身する楓。
「嬢ちゃん。あんたが、俺の主かい?」
 変身後。それらしいフリル付きのドレスに機動と言うぐらいに物々しい杖を持った楓の姿があらわになる。そして、楓の肩に止まる鳥。雀みたいな小ささだが、羽を器用に使って煙草を吸っている。しかも声はかなり渋い。
「あ、あの、この鳥は?」
「あ、それは楓ちゃんが戦闘の時にアドバイスしてくれるデバイス。名前はジョージ・フォン・ヴェンデッタ・アレストロガノフだよ。やっぱり、変身ものといったらマスコットじゃん?」
 無駄に長い名前である。
「俺の事はジフォヴェアと呼んでくれ。あるいはジョフォヴェアだ」
「ジ、ジフォヴェッ!!」
 舌を噛んだらしく。口を隠す楓。ちなみに名前の頭を取っただけである。
「やっぱり、噛んじゃうか。楓ちゃん。とりあえず、怪獣を退治してきてくれ。」
「わ、わかりまひた。」
 そう言って、返答する楓。舌がまだ痛いらしい。
「頼んだよ。ジョージ。」
 最初からそう呼べばよいものを・・・・・・。
「わかったぜ。博士。」
 走りさる楓。
「ふっふっふ、これで、僕の魔女ッ子が世間に広められる時代がきた!!」
「博士?」
「なんだい?奏君?」
「一度病院に行った方が・・・・・・。」
 研究所は森の奥深くにある。ここから、街まで走っていくには時間が掛かりすぎる。
「え、えっと・・・・・・。」
「もう、ジョージで良いぜ。あれはちょっとしたジョークだ。おっと、言いたい事はわかってるさ。これじゃあ、街に着いた頃には壊滅しているな。そう言うときはその杖を使うんだ。さぁ、それを地面の上に立てるんだ。」
「は、はい。」
 地面に杖を立てる楓。
「そして、手を離すんだ。」
 すると、物理法則を無視して直立する杖。
「そして、答えるんだ。【『ワールドオメガクラッシャー』よ。我に道を示せ】と!」
 やけに物騒な名前の杖である。
「え、えっと【『わーるどおめがくらっしゃー』よ!私に道を示して!!】」
 からんからん。と、淋しげな音が一つ。杖が倒れた音だ。
「よし、あっちに進むぞ!!」
「ちょ、ちょっと、こういうのは杖に乗って移動とかじゃないんですか?」
「ふっふっふ、甘く見てもらっちゃ、困るぜ。このワールドオメガクラッシャーは因果律を狂わせて移動手段を見つけるお手頃な杖なんだぜ。」
 地味にセコイ機能を持った杖である。そして、その方向に向かうと道路に出る。こんな樹海に道路があるのは珍しい気もしないわけでもない。ちなみに、平たく言えば、ご都合主義で事を為せるのだ。
「とりあえず、道路だな。」
「ええ、道路ですね。」
 すると、研究所の方から車が来る。と言っても、本当に研究所に繋がっているのかはわからない。
「御嬢さん。私と一緒にドライブに行きませんか?」
 丁度、楓の前に止まる車。そして、窓が開いて一見軽そうな男が顔を見せて言う。
 なんだ?この丁度この時を待っていたと言わんばかりの展開は?
「と、とりあえず、お願いします。」
 そして、街に向かう楓
「御嬢さん珍しい格好しているね?なんかの撮影?」
「そ、そうです。」
「おい、人間。馴れ馴れしい言葉で御嬢に口聞いてんじゃねぇぞ?刺すぞ?」
 ジョージは妙に殺気立っている。
「と、とりあえず、街に向かえばいいんだね。」
 男は血の気の冷めた表情で言う。
「はい、お願いします。」
 と、突然、車の後ろの方から『ばばばばばばばばば』という音が聞こえる。後ろを見てみると
「ぐ、軍用ヘリ!?」
「ちっ、追って来やがったか!御嬢ちゃん。しっかり捕まってろよ!!」
 すると、男はアクセルを思い切り踏み込んでスピードを上げる。凄まじいほどの速さを発揮する。
「ふはははははは!私のスピードについてこられまい!今の私は音!いいや!正に光!その光についてこられるものはいない!!」
 背後から軍用ヘリがマシンガンで射撃してくるが、妙にテンションが高くなりアクセルを踏み込む男。だが、カーブに差し掛かったとき
「曲がれるかぁっ!!!」
 ハンドルを切るもののガードレールと言う枠を飛び越えて青い空に飛び立つ車。
「ど、どうしましょう!ジョージ!?」
「こうなったら、ファイナルオメガクラッシャーで飛ぶしかない。」
「あ、あれ?名前変わってませんか?」
「細かいことは気にするな。さぁ、ファイナルオメガクラッシャーに念を込めるんだ!!」
 ジョージの方も妙にテンションが高い。すると、もうオメクラでいいや。オメクラが淡い光を纏い始める。
「そして、『飛びたくない』方向に向かって杖を向けて念を放つんだ!!」
「と、飛びたくない方向!?」
「そうだ!やばい落ちるぞ!!」
「えぇい!どうにでもなってください!!」
 すると、車から飛び降りて、地面に向かって照準を合わせる。
「いっけぇ!!!」
 チャージされたオメクラに光を纏わせて噴射する。
「きゃ、きゃーーーーーーー!!」
 すると、街の方へ飛ぶ。もちろん、杖に振り回されている状態で。
 そう、これが機動魔法少女KAEDEさんだ。彼女は日々や、人々のために戦っている・・・・・・はず。

 怪獣のいる街にやってきた楓。そこにはやりたい放題、破壊を繰り返す怪獣がいた。
「ぎゃおー」
 とても、やる気のない怪獣だ。おたけびが棒読みだ。だが、破壊を繰り返す怪獣に人々は阿鼻驚嘆と逃げ回っている。
「はっはっは!破壊を繰り返せ!ゴゲジラ!!」
 その怪獣の姿は某放射能で汚染された怪獣に似ている。その足元で白衣を来た人間がいる。どうやら元凶らしい。
「待ちなさい!」
 すると、波動砲のような一撃が怪獣に命中する。その一撃で怪獣はよろける。
「誰だ!!」
 その方向を見る人間とゴゲジラという怪獣。しかし、その方向には誰もいない。
「天見る。地残す。私が討つ!この世に混沌をもたらす者は私『機動魔法少女』が許さない!」
 そして、どこからか聞こえる決め台詞
「貴様!何者だ!!」
「あなたに名乗る名前などありません!!ってか、どっち向いているんですか!」
 人間とゴゲジラの後ろのビルに立っていた。
「くっ!撹乱とはやるな!しかし、私の魔科学の前には無意味!!いけ!ゴゲジラ!!」
 それに従うゴゲジラ。そして、ゴゲジラの口から光線が放たれる。
「がおー」
 相変わらず、棒読みなのは変わらないらしい。
「ジョージ?どうしよう。質量が違いすぎるよ?」
「ふっ、機動魔法少女と言えば必殺技だ。」
 ジョージの目から映像が写されて
「博士!最終兵器の許可を!!」
『おっけぃ!認証コード D・e・s・t・r・o・y!』
「ちょっと!そんな物騒な!!」
 ちなみに『Destroy=殺戮』である。
「楓!それを天に掲げるんだ!」
「こ、こうですか?」
 楓がオメクラを天に掲げるとオメクラは自動的に空に飛び。変形し始める。
「なにぃっ!?そんな兵器が!?」
 魔科学を提唱した人間が驚く。
「いや、無茶ですよ!」
 そこには変形し終えたオメクラがあった。そのオメクラは超大口径のキャノン砲に変形していた。大体1mぐらいの長さのステッキだったオメクラの影はもうない。
 それに突っ込む楓と、それに驚く人間。
「さぁ、楓!掛け声を!!」
「え、えっと、発射!!」
「ピピ、ガガ、『地球なんてぶっ飛んじゃえオメガクラッシャーキャノン(はぁと)』発射シマス。」
 なぜか、オメクラから声が発して、技名らしいところで流暢な声に変わるオメクラ。そして、超大口径のオメクラはチャージをしてビームを放った。
「ぎゃー」
 ゴゲジラはあくまで棒読みの叫び声で消し炭になった。

 翌日

 片島研究所の一室で京介は朝のモーニングトロピカルジュースを味わっていた。
『昨日、午後3時頃。おやつの時間あたりに〇〇市に怪獣が現われました。』
 テレビでニュースキャスターがリポートしているが、なぜ、おやつの時間なのだろうか?
『怪獣はやりたい放題に破壊を繰り返しました。それを止めに入ったのか。一人の少女が止めに入りましたが、破壊の規模が広がり、〇〇市は壊滅状態です。見てください。あの底のないクレーターを・・・・・・。』
「うん、さすが僕の作った『地球なんてぶっ飛んじゃえオメガクラッシャーキャノン(はぁと)』だね。」
「だね。じゃ、ありませんよ。あの衝撃で、楓さんは全治1ヶ月ですよ。」
「はっはっはー、じゃあ、回復してからまた、頑張ってもらおうか。」
 そこでアナクロな黒電話がジリリリリと音を鳴らす。
「はい、片島研究所・・・・・・なんですって!?」
「どうしたの?」
「楓さんが、敵側科学者と駆け落ちしました!!」
「なんだって!?」
 その後、片島研究所が悪の研究所化したのは別のお話。


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