「早速だが、来週は家庭訪問だ。」
 それは純一の担任教師『服部 正和』の言葉だった。その言葉に不安感を隠せないのか私語が始まる。
「ちなみに、親御さんには既に連絡はついてある。別にその場にいる必要性はない。親と教師による面談だからな。勝手にしてくれ。」
 しかし、それを物ともせずに服部教諭は言った。それに安心の意味をこめて私語が始まる。
『家庭・・・・・・訪問かぁ。』
 その私語に混ざらず、窓から空を見上げる純一



 担任教師『服部 正和の苦悩』



 休み時間、達郎と純一は家庭訪問の事で話していた。
「純一のところって、片親だろ?大丈夫なのか?」
「いや、それはきっと帳尻合わせるだろうけどさ。親父がちゃんと対応してくれるかな。」
 純一は重苦しい雰囲気を漂わせながら溜息をつく。
「溜息つくなって、幸せが逃げていくぞ。」
「ん、あぁ、わりぃ。」
 しかし、また溜息をつく純一。
「なんだよ?なんか悩み事か?」
 達郎はどちらかというと友人思いの性格だ。ただ、女運に恵まれていないだけだ。
「家庭訪問だよ。親父の事だからろくでもないことするんじゃないかなぁってさ。」
「うーん。大丈夫じゃないか?純一は内面しか見ること無いと思うけど、ちゃんとした社会人なんだろ?だったら、問題ないだろう。」
 達郎の説得力のある言葉だが、不安感の隠せない純一。

 時間は移り変わって片島家に向かう服部教諭
 服部 正和は教師としては申し分のない実力はある。しかし、新任の教師なだけで、経験さえ積めば十分な人格者にもなれると同じ教師内では言われている。
 そして、片島家の呼鈴を鳴らす。
『はい、片島ですが?』
「家庭訪問で来ました。純一くんの担任教師の服部です。」
『お待ちしてました。少々、お待ちください。』
 そして、中から出てきたのは純一だった。
「純一くんか。父君はいるか?」
「はい、中で待ってます。」
 純一は服部を中に通す。

 〜30分前〜

 純一は今で何度も同じ所を往復していた。対して、京介は悠々と構えている。
「落ち着き無いよ?」
「わかってるけどさ。不安なんだよ。」
「大丈夫だって、前の中学みたいな心ない教師じゃないんでしょ?だったら、問題ないよ。」
 そう言って自前のコーヒーを飲む京介。
「うーん。この香ばしい香りが身を落ち着かせるねぇ。」
 その言葉に純一は
「親父もなんだかんだで緊張してるのな?」
 純一が京介をカタカタとコーヒーカップが揺れている。
「そりゃ、そうだよ。教師から見た純一くんの評価が気になるもん。」
「俺は親父と違って、ちゃんとしてる。」
 純一は自信もって言うが
「わからないよ〜?生徒の見解と教師の見解は違うからね〜。だから、漫画でも何でもあるでしょ?生徒会と教師連中の衝突とか?」
 否定できない言葉に純一は不安感を覚えていく。

 〜現在〜

 居間に通された服部教諭。そこに立って構える京介。
「お待ちしておりました。今日は時間を削っていただきありがとうございます。」
「いえ、こちらこそ、わざわざ、日中に空けてもらえるとは思いませんでした。」
 大人の儀礼なのだろうか。純一から見て京介が大人しく見える。
「純一くん。どうせだから、楓ちゃんの所でも行ってきたら?」
「ん、あぁ、そうするよ。では、先生・・・・・・。」
「あ、あぁ、では、学校でな。」
 そう言って純一は退場するが、外に出たと見せかけて、玄関ドアを開けて外には出ず、脱衣所に隠れて盗み聞きを始める純一。
「では、純一くんの事ですが・・・・・・。」
 服部教諭が切り出す。
「はい。」
 生唾を飲む京介。
「成績も良く。周囲の評価も良く。相応な人間に育っていると私は思います。」
「そうですか。安心しました。」
「そうですね。このまま、成績も安定していれば、相応の大学にもいけると思いますよ?やはり、親が良かったからでしょうかね。」
 服部教諭は京介を褒めるが
「そうでもありませんよ。子は親を見て育ちます。この身一つで育ててきた身ですから、不安なところは多々あります。いじめられていないかとか、成績に問題ないのかとか。いろいろありますよ。ですが、やはり、子供です。いつその均衡が崩れるかが一番心配です。」
「確か、純一くんは拾い子なんですよね?」
「はい。一応、そうなりますね。一応、国から特別法規措置と言う事で私が預かる、とでも言うのでしょうか。そのような形になりました。そして、現在まで、育ててきました。」
 その京介の言葉
「あなたのような、人格者なら純一くんも誇りに思うでしょう。」
「本当にそうでしょうかね。」
 ボソリと呟く京介
「え?」
「あ、いや、なんでもありません。」
「もしか、親子関係で問題でも?」
 心配そうに服部教諭は京介に尋ねるが
「いえ、そう言うことは一切ありませんよ。父子共々仲良くやっています。」
「そうですか。じゃあ、質問などは?」
「そうですね。質問なしじゃ面白くありませんし、あなた個人で純一くんはどう思いますか?」
 ふと、京介はいやらしい笑いをしながら質問をする。
「私・・・・・・個人ですか?」
「はい、そうです。あなた個人で純一君の事はどう思いますか?別に色目付けても構いません。」
 その質問は服部を困らせた。服部個人での答えだ。教師、生徒である以上、必要最低限でも会話する時がある。だが、本当に必要最低限な会話の場合、相手の性格を判断するのは大変難しい。
「それは・・・・・・。」
 言いよどんでしまう服部
「・・・・・・すみませんでした。すぎた質問でしたね。深い意味はありませんでしたが、そこまで、生徒間と話しているわけではなさそうですね。」
 言わば、先ほどは京介から服部に向けての挑戦状だったのだ。そして、丁度良く、携帯が鳴動する。
「すみません。失礼します。」
 そう言って、京介は窓際に立ち、携帯に出る。その間、服部は少し静んだ表情をしていた。そう、良くも悪くも敗北を期したのだ。
「はい?えぇ・・・・・・はい、わかりました。」
「お仕事ですか?」
 服部は携帯の会話を止めたのを確認する。
「えぇ、でも、大丈夫です。」
「では、そろそろ、お暇させていただきます。」
「わかりました。」
 そして、服部が帰った後。

「どう?僕のテクは?」
 ふふん。笑う京介。どうやら、京介は純一がいることに気が付いていたらしい。
「正直、感心できない。」
 それはそうだ。教師と言えど、態度を違えていると思う。だが、あえて京介はその暗黙の領域に足を踏み入れたのだ。
「でもね。純一くん。ああいう人格者は珍しいと言うのかな。あんな厳格な先生は珍しいよ。生徒は生徒、教師は教師って割り切ってる。だから、彼自体に問題はないよ。経験さえあれば大丈夫だって」
「なんかわかったような言い方だな。」
「まぁ、同じ男としての経験かな?やっぱり、仕事って言うのは経験がモノを言うからね。んで、やっぱり、新任の先生さんだね。きっと、近いうちにまた来ると思うよ。見た目だけど生真面目だからねぇ。」
 京介は一人でうんうんと首を縦に振っている。
「なんか、これ見よがしと仕返ししてるみたいだな。」
「ん〜、まぁね。じゃ、僕仕事だから、そろそろ行くね。」
「ん、ああ。」

 後日

 純一は達郎と放課後の教室で談笑していた。
「片島、今、時間は空いているか?」
 そこに入ってきたのは服部教諭であった。
「え?あ、はい。」
 純一と達郎は不思議そうな感じで服部教諭を見る。
「あぁ、別に亘理が一緒でも構わん。少し、雑談でもしようと思ってな。」
 そう言いながら服部は適当な椅子に座る。
「どうしたんすか?先生?」
「いやな。片島の父親さんに言われたんだが、本当に生徒と交流して人を見ているのかと言われてな。私も思い当たることがあったからな。だから、今度から放課後見回りをして、残っている生徒と話してみようと心掛けてみようと思ってな。」
 少し恥ずかしげに服部教諭は言う。
「いいんじゃないすか?俺はそう言うの大事だと思ってるんすよ。」
 達郎が率先的に話していく。純一は淡々とそれを聞いている。
「そうか。でも、おまえは怖くないのか?こういう風に教師と話すと言うのは?」
「うーん。そりゃ、怖いッスけど。それって別問題じゃないすか?確かに、怖くて話したくないって先生だっていますよ。けど、こういう風に自分の手を明かして話してくれる先生のほうが、怖くても話せますよ。そりゃ、先生には言えないような事は話せませんけどね。」
 と、達郎は流暢に話していく。すると、服部教諭は笑い始める。
「なるほどな。やはり、生徒との交流と言うのは必要だな。」
「なら、先生、どっか自分の授業の時にそんな時間をもうけたら良いんじゃないですか?」
 そこで純一が口を出す。
「そりゃ、いい案だ。」
 ニヤリと笑う服部教諭だが
「と、言うと思ったか?それとこれとは話は別だ。そんな時間を設けられるのはLHRの時ぐらいだろう。確かに自分の授業の時にそのようなことをもうけるのはありかもしれない。だが、あくまで此処が学校だと言うことを忘れるな。学生の本分は一応勉強だ。」
 軽い説教をされて、しょんぼりする純一だが
「だが、おまえだっておまえなりに考えを持ってるんだろ。関心はしないけどな。」
 ふと笑った服部教諭
「そうだぜ。純一、そういう下心丸見えなところはやめとけって!」
 達郎はそう言うが
「い、いや、そういうつもりで言ったわけじゃないんだが・・・・・・。」
「でも、授業を楽にする以外に何があるんだよ?」
 達郎が訪ね、服部はふとわからないと言う表情をする。
「いや、確か、学校案内を見たとき、服部先生って新任だろ?やっぱり、不安だと思うんだ。新しい場所でやることってさ。だから、やっぱり、生徒から自分以外の先生の意見とかもらってさ。できるだけ自分のペースを作って言った方がいいと思うんだ。先生だって、俺たちだけを見ているわけにはいかないんだからさ。あー、えーっと。」
 純一は途中で言いよどむ。
「どうした?」
 服部教諭が訪ねるが純一は沈黙してしまう。
「あっ!」
 達郎はふと思い出す。
「どうした?亘理?」
「い、いや、なんでもないっすよ!先生!も、もうそろそろ帰ろうぜ!純一!!」
「あ、あぁ、そうだな。」
 純一と達郎はその場を急いで去ろうとするが、服部教諭は口を開く。
「片島、おまえがバイトしていることぐらい知っているぞ。」
 服部教諭は立ち上がって言う。だが、どこかしら満足げな表情をしている。
「言いたい事も大体わかった。」
「えっ!?お咎めナシですか!?」
 純一は恐る恐る聞いて見るが
「まぁ、俺みたいなひよっ子が言うとお上様は過剰に反応するからな。そう言うのは言わずに越したことはない。」
 教室の戸を開ける服部教諭は背を向け様に口を開いた。
「片島、お前は優しいな。」
「べ、別に、俺はそんなんじゃないですよ!!」
「はは、それが優しいって言うんだ。」
 そう言って、服部教諭は扉を閉め様に
「遅くならないうちに気をつけて帰れよ。」
 そして服部教諭の気配がなくなると
「なんか、授業とかのイメージと違ったな純一?」
「あぁ、なんか、話しやすかった。」
「いや、まぁ、そうだけど・・・・・・はぁ、やっぱり、おまえは天然だわ。」
「な、なぜだ!?」
 達郎は深い溜息を付く。
「おまえなぁ。まぁ、天然って言うのも言いすぎたかもしれんけどさ。今は授業じゃないんだから、少しぐらい気を緩ませるだろ?」
「あ・・・・・・。」
「あー、おまえ天然じゃなくてアホだわ。まったく、その読めなさっぷりに完敗だ。」
「あ、えっと・・・・・・ごめん。」
 とりあえず、純一は謝る。
「いや、別にいいんだけどよ。たまーにお前のアホっぷりに助けられるから構わないけどね。」
「それって、単に俺が社交性無いって奴じゃないのか?」
「うーん。違うな。なんだろう。そう言うのは彼女に効くべきなんじゃないか」
 という訳で、達郎と純一は楓のいるテニス部に向かう。
「あら、珍しいわね。片島くんがわざわざ迎えに来るなんて?」
 テニス部の練習を遠くから二人で眺めているとテニス部部長の『姉川 由美』が二人に話し掛けてきた。
「どうしたの?普段から迎えに来ない片島君がわざわざ迎えに来るなんて?」
「こいつ、悩み事あるんすよ。」
 積極的にアプローチを始める達郎。
「へぇ?どんな?」
「性格の問題っすよ。俺じゃあんまり良い言葉が浮かばないんですけどね。」
「どれどれ、先輩に聞いて見なさい?」
 由美は面白そうに聞き入ろうとするが
「せんぱーい。って、純一さん!?どうしたんですか?」
「・・・・・・。」
 純一は一人で考えているのか楓の声が耳に入っていない。
「あー、純一〜?」
「ん?どうした?って、楓に姉川先輩じゃないですか?どうしたんだ?」
「なんか、結構、問題ありそうなことのようね。よっし、面白そうだから、今日の部活は此処までね。時間もいい頃合だし・・・・・・。」

 そして、純一たちは全国に展開しているジャンクフード屋『ジャックとナルト』にきていた。
「ふーん。社交性がないって自信が無いわけ?」
「そうなりますね。」
 純一の深刻な表情に由美は少し感慨深げにしている。
「純一さん自体はどう思っているんですか?」
「いや、達郎に言われてから考え始めた。自分ではそれなりにあるつもりだったんだけど・・・・・・。」
 すると、由美と楓は達郎を見る。
「い、いや、そうじゃねぇか。だってよ____」
 達郎は服部教諭とのやり取りを話す。
「___つっても、殆どは俺が話したんだけどな。」
「んー、まぁ、わからなくもないけどねぇ。正に純がつくだけに純真なんだろうね。まぁ、片島くん。気にすることは無いよ。」
「そうです!もし気に入らなかったら、私が成敗いたします。」
「ちょっ!それって俺もありなのか!?」
 達郎は焦って反論する。そして、きらりと光る楓の瞳。まるで獣を狩るような眼だ。
「楓、楓、権力はなしね。」
「わ、わかってます!」
「ですから、私の実力で大丈夫です!」
 一体、その自信はどこから出てくるのだろうか?と不安がよぎる純一。
「・・・・・・ねぇ、ちょっと、思ったんだけどさ?」
 話が脱線していきそうな中、鶴の一声。もちろん、その主は由美だ。
「それこそ、担任に聞いてみたら?放課後来るんでしょ?」
「「「・・・・・・」」」
 三人は沈黙して各自の顔を見合わせてから
「「「それだっ!!」」」
 翌日の放課後、純一、楓、達郎は放課後軽い雑談をしていた。そして、目的の服部教諭が現われる。
「ん、また、残っていたのか?」
「今回はちょっと、先生に聞きたいことがありまして・・・・・・。」
「ん?どんなことだ?」
 純一は昨日の事を話す。
「なるほど・・・・・・。それは悪いことをしたな。」
 そして、服部教諭は頭を下げる。
「そ、そんな、先生!そんな畏まらないで下さい!!」
 純一たちは焦って動揺してしまうが
「いや、これは単純に私がしたいと思ったからしただけだ。そして、これから言う話を聞いてほしい。」
 椅子に座っていた服部教諭は立ち上がって黒板の前に立つ。
「私は単純に、片島の意見に客観的、じゃないな。どちらかと言うと周りの視野に入れた保身的意見を言ったんだ。しかし、そんなことを言ってしまっては自己中心的だと思われてしまうがな。」
 だが、黙って純一たちは話を聞いている。
「そんなことをしていたら教師、おろか生徒連中に甘い先生だと思い込まれかねないと思った。確かに良い考えではあるんだがな。確かに、今の年齢の生徒達ならそう思う。だが、実際の現実と言うのはもっと厳しいんだ。教師って言うのはある意味、宗教者だ。自分の信じた道を後に継ぐ者達に教える。って、言うと意味は違う。実際は自分の信じた道を後に継ぐ者達に押し付けているんだ。どちらかと言うとこれはセールスだと思ってもいい。」
 すると、服部教諭は教室の窓を開けて、暮れ行く太陽の方向を見ながら
「これでも、俺は札付きの不良だったんだ。」
「「えぇぇぇっ!?服部先生が!?」」
 驚いたのは楓と達郎だった。
「おや?片島が驚かないとは・・・・・・。」
 服部教諭は物珍しそうに片島を見る。
「いや、何となくそうかなーって思いまして」
「まぁ、いいか。その不良だった俺を更生させた恩師が御陰で私は教職に着こうと思った。だからこそ、そんな後悔の道には歩かせないようにしたいと私は思っている。今じゃ、学校の中で不真面目にしている生徒もいるし、教員の肩身も狭い世の中だ。手を振るった。やれ、暴力だ。補習する。やれ、精神的虐待だ。という手狭な世の中になった。動かないと判らない気持ち、今の政治はどちらかと言うと『法律』と言う名の元に教師と生徒の間に対する壁ができている。それを逆手にとって生徒達はやりたい放題だ。そして、注意しても言う台詞は大体決まっている。『俺たちは未成年だから大丈夫』とな。でもな。それだと成長した先に言い方があるんだ。『俺たちは心が未成年だから通用する』とな。それは、少し言い方が違うが卑怯と言うんだ。俺もお前達ぐらいの時はそんな感じだった。」
 言いながら服部教諭は窓を背に顔を挙げる。
「そんな中でこそ、教員は生き抜かないといけないし、教えなくてはいけない。三文台詞だが『社会に出て後悔するのは自分自身だ。』って言っておこう。」
「やべ、俺、眼からタレが・・・・・・。」
 達郎は目じりを制服の袖で拭き始める。
「いや、涙だろ?」
 素直なツッコミを入れる純一。
「涙じゃねぇよ!タレが出てきたんだよ。」
「そりゃ、味がありそうだな。」
 純一は冷静なツッコミに服部教諭はくすくすと笑い始める。その様子に純一たちは驚いて見つめる。
「あぁ、悪い悪い。なんか、そう言う光景もやる立場じゃなくて見る立場になったんだなと思っただけだ。」
 服部教諭はふと笑ってから
「まぁ、こんな教師の長話につき合わせて悪かったな。」
 そう言って服部教諭は教室に出て行く。
「服部先生!」
 純一は呼び止める。
「どうした?」
 背筋を伸ばし立ち上がり直立不動になる
「すいませんでした!!」
 純一はそして深々と頭を下げた。
「どういうことだ?」
「お、俺、自分に社会性がないとか、悩んでましたけど、これからもこの先もそれは学んでいくことなんですよね。そんなあたり前の事を悩んでて・・・・・・。」
「それはちょっと違うな。」
 服部教諭はドアの前に立ったまま言う。
「社会性とか、そんなものはどうでもいいんだ。悩んで打ち明けて、悩んで打ち明けて、それで答えってのは出てくるんだ。だから、私にとっても片島にとっても有意義な時間だったと私は思う。」
 服部教諭は言いたいことを言い終えたのか教室を出て行こうとする。
「さて、気をつけて帰れよ。」
 そう言って服部教諭は出て行ていく。
「純一、よかったんじゃねぇの?」
「そうですよ。ちょっと、万人には聞きにくい事でしたけど、有意義な時間だったと私は思いますよ。」
 頭を上げる純一
「うおっ!男泣き!?」
 達郎は純一の顔を見ると純一は淡々と涙を流していた。
「凄い、なんだろう。言葉が浮かばない。けど、なんか、涙が出てきた。」
「純一さん・・・・・・。」

 そして、純一は家に帰ってから京介にその事を話した。
「んー、まぁ、悪くないんじゃない。純一くんもそれなりに考えてきたって事でしょ?それについて考えてくれる先生なんてホント、僕の知っている限りでは一握りだからね。いい先生持ったんじゃない?」
 と、京介は携帯ゲームをしながら返答する。
「なんか、聞く気ないのな?」
「その考えを鵜呑みにするのは危ないからね。」
 さらりと言う京介に純一は唖然とした。そして、京介は携帯ゲームをやめてソファの前にあるテーブルに片足を乗せて立ち上がり
「考えてもご覧なさいよ。奥さん!自分でセールスと言ったんだ。それは何を意図としているか考えてみてください!それは勧誘です!」
「で、でもさ!」
「まぁまぁ、落ち着きなさいな。いいかい、僕じゃなくてもそんな感じに言い寄られたら共感覚えそうじゃない?」
 ふと純一の動きが止まる。
「でもね。最後にちゃんといい事言ってるじゃないの。『悩んで打ち明けて、悩んで打ち明けて、それで答えってのは出てくるんだ。』って、それは僕もそう思うよ。この世界で味方はどんな形であれど一人なんだ。だから、他人を受け入れて、受け入れてもらって答えってのは出てくるよ。そりゃ、答えは人によって違うけどさ。純一くんもそんな人間になれれば良いね。人を信じて、信じてもらえる人間にね。」
 京介の諭す顔に
「あぁ、そう言う人間になりたい。」

おまけ:反転してください↓

「しかし、敵は近くにいた!どうなる!純一!目の前にある恐怖に立ち向かえるのか!?ご愛読ありがとうございました。片島 純一先生の次回作にご期待ください。」
「勝手に締めるな!!」
「いや、そう言ったほうが面白そうじゃない?」
 京介は魔王ばりに『フハハハハハハ』と笑いながら自分の部屋に逃げていく。
「だっ!ちょっとまて!なんだ、そのすげぇやりきれない終わり方!?」
「次回!純一くん浮気編!お楽しみに!!」
「浮気なんかしねぇよ!!」
 こうして世界の夜も過ぎていく。
「純一さん!信じていたのに!!」
「ちょっ!なんで、此処に楓が!?ってか、なんだこの展開!?」
「あーあー、純一くんがなーかした!わーるいな!わーるいな!!」
「くそおやじがぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!!!」


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