純一と達郎は喫茶店でコーヒーを飲んでいた。別に理由もなく。この行動に走る二人。
「そういえば、どうやって、楓ちゃんと知り合ったのだ?」
 達郎が聞く。
「楓と知り合ったわけ?んー、なんていうんだろうね。」



 
純一君と楓さんの出会い系?



 純一が中学生の頃だった。近くに武術の教室があったため、京介は
『ま、自分や彼女ができた時に守れるぐらいの力はつけておかないと後悔するよ。』
 と、言われて純一は面倒ながらも武術教室に通うことになった。その頃は勉学少年で、成績は中の上と言ったところだった。部活動もしていなかった純一には断る理由もなかったので通うことになったのだ。
 武術の教室は何分、問題もなく純一は通っていた。先生からも
『可もなく、不可もなくだな。やる気を出せば、大きく成長する。才能があるのに腐らせるのはもったいないぞ。』
 と、言っていた。
 そんな、武術教室の帰りだった。
「すいません。急いでいるんです!!」
 そんなに遅くない夜の裏路地で若草色の女の子が悪漢どもに絡まれていた。元々、正義感の強い純一は見ていられなかった。
「やめろっ!!」
「あぁん?なんだよ!お前は?」
「あ、いや、単なる通りすがりだけど、見ていられない状況だったから・・・・・・つい。」
 そう口走ってしまう。こういう口論の場なら、相手より自分が強いと思わせなければいけない。
「なに、正義のヒーローぶっちゃってんの?ウザイよ?」
「正義のヒーローなんて柄じゃない!俺は女の子を複数の男が囲ったら怖いだろ!?」
 純一の独断の偏見だ。だけど、見過ごせる問題でもなかった。それが、純一のやさしさだ。
 そして、純一に取って始めてのケンカだった。
「だから、うぜぇっての!!」
 と、振り回される腕。純一の取っては止まって見える。勝てる。そう思った。だけど、一人だけならばの話だっただろう。後ろからの蹴りで、バランスを崩す。均衡が崩れた以上、純一は袋叩きだ。

 遅くに家に帰る純一、女の子はどうやら逃げたようだったので、少し満足していた。そして、出迎えた京介は少し驚いたが
「よく頑張ったね。」
 と、言った。純一は初めて悔しいと思った。女の子は守れたかもしれないけど、自分は守れなかった。そして、京介が何も聞かずに誉めてくれた。事情は知っているかもしれない。だけど、その言葉が悔しくも嬉しくもあった。
「ほら、傷の手当てぐらいするよ。」
 そう言って軽い治療を受ける純一
「・・・・・・。」
 純一は何も言わずに傷の手当てを受ける。
「ケンカって言うのはね。」
「?」
 京介は独白する。
「誰かの為にやるケンカと、ただバカのやるケンカの二種類あるんだ。純一君は優しいからね。誰かの為にやるケンカをしたんでしょ?そんなに悔しがる必要はないよ。」
 京介は優しく言う。純一は思わず涙が込み上げてきた。
「親父・・・・・・俺、強くなりたい。」
 そういったとき、京介はふと笑って
「バーカ!バーカ!」
「なっ、なんだよ!人が真剣に話しているときに!!」
 純一は激昂する。
「別に強くなくたっていいんだよ。身体的じゃなくて、精神的に強ければ誰にも負けない。バカのやるケンカの強くなる方法って知ってるかい?」
「いや、知らないけど?」
「場数を踏めばいいんだよ。そしたら、おのずと身体的にも経験上で強くなる。けどね。精神は弱いまま。弱みを握られたら、いいように扱われて、おしまいさ。」
「じゃあ、精神的に強くなれって言うのか?」
「そんな力まなくていいよ。キミはキミの早さで強くなればいい。」
 そう言って、京介は頭を撫でて自室に戻っていった。
「精神的に・・・・・・か。」
 それ以来、純一は武術に打ち込んだ。
『暴力だけじゃ強くなれない。精神的に!精神的に!!』
 そう思いながら、純一は先生が驚くほどに成果を見せた。
 そんなある日、再戦の時がやってきた。また、あの日の光景だ。黒い髪をした女の子が襲われている。
「やめろっ!!」
「あぁん!あ、おまえ、前に俺たちにボコボコにされた奴じゃねぇか!こりねぇな!また、ボコられに来たのか?」
「ああ、その子を放してやってくれ!俺が身代わりになる!!」
 純一はプライドを捨てて頭を下げる。
「じゃ、また、サンドバックになってくれるって言うの?」
「それでも構わない!」
 そう言って頭を上げた。
「じゃ、そう言うことなら!!」
 そして、しばらくサンドバックのように殴られる純一。だが、今回はそれだけではなかった。
「やめなさい!!!!」
 しかし、悪漢たちは女の子の声に止まった。
「1度ならず、2度までも助けてもらいます。見過ごすわけにはいきません!!」
 そう言って、女の子は凛とした態度で悪漢たちに言う。
「ほぉ〜、言うじゃない。ますます気に入った。俺のオンナにならねぇ?」
「!!」
 悪漢はそう言いながら手を出そうとするが、それを掴んでいとも容易く投げ飛ばしてしまう。
「あなた達は自分のやっていることがわからないのですか?まだ、あなた達の彼氏になるぐらいなら、そこで頭を下げていた彼のオンナになったほうがマシです。」
 そこはかとなくけなされたような気がした純一。
「おいおい、調子乗ってくれちゃって!」
 そう言って悪漢が女の子に手を出そうとした時
「だりゃぁぁぁぁぁぁっ!!」
 純一が悪漢を殴り飛ばした。
「女の子には手を出すなって言っただろ!!」
 よろめきながら純一は言った。
「いつつ・・・・・・。」
 純一はフラリと壁に寄りかかる。
「だ、大丈夫ですか?」
「大丈夫、大丈夫。前に比べて頑丈になったからね。」
「え、どこかでお会いしたことありましたっけ?」
 女の子が覚えているはずはない。だけど、純一は覚えていた。
「前にも一回、こういうことあったでしょ?」
「あ、はい、ありましたけど、その時は私を逃がしてくれてくれました。顔は見れませんでし・・・・・・もしかして!?」
 はっと思い出す女の子
「そう、俺だよ。」
「あ、あの時はありがとうございます!」
 そう言って頭を下げる女の子。
「気にしないで、俺が勝手にやったことだからね。」
 純一は無理して笑うが、切れた口の中が痛い。
「とりあえず、手当てを!少し、肩を担がせてもらいます。」
 そう言って、女の子は純一の腕を首に回して肩を担ぐ。
「すぐそこですから。」
 そして、たどり着いたのは大豪邸だった。
「おおー、すげー、デカイ。」
 そう言って、呼鈴を押す女の子。
「はい、吉川邸ですが?」
「楓です。奏(かなで)ですか?少し、来てください。できれば、救急箱を持って。」
 その救急箱という言葉に反応して深刻さを伺ったのか。すぐにインターホンを切り、奥から私服姿の女の人が走ってくる。
「ど、どうなされたんですか?」
「前と同じように悪漢に襲われたんですが、この人が助けてくださって・・・・・・。」
「わかりました。」
 純一の意識は朦朧としていた。軽い脳震盪を起こしているのは判っていたがここまで酷いと思っていなかった。

 目が覚めると天幕のあるベッドに寝ていた純一。体を起こすと楓と呼ばれていた女の子がベッドの端で寝ていた。
「ここは?」
 と、思ったと同時に窓ガラスが割れる。何かが入ってきたようだ。
「御嬢様!?」
 入ってきたのは純一を手当てした奏という女の人だった。
「だ、大丈夫です。何もありませんよ。」
 そう純一が言うと安堵の息をついて窓ガラスの周囲を調べ始める。
「矢文?」
 奏が見つけたのは矢に手紙を括りつけたものがあった。奏はその手紙を見る。
「さ、さすが、片島様の御父様ですね。」
 くすりと奏は笑う。
「お、親父の仕業か!!」
 純一は焦り始める。窓ガラスを割った挙句。侍女なる人を驚かせたのだ。気が気ではいなかった。
「読み上げますね。」
 そう言いながら、奏は読み上げ始める。
『やっほー!元気してるかい!マイサンよ?吉川 楓さんって言う人を助けたんだってね。僕も鼻高々だよ。こう、矢文で送ったのは暇だったからね。おっと、ちゃんと仕事はしているよ。あと、ガラスの事は大丈夫。ちゃんと矢文の中に金一封入れておいたからね。んじゃ、そんな訳で、家で待ってるよー。By 僕の偉大なる息子へ 天高く神々しい京介より。』
 読み上げた後に頭を抱える純一。
「あのクソ親父。」
 頭を抱える純一
「噂通りですね。」
 すると、奏が笑って言う。
「え?」
「近所でも有名ですよ。市民の味方『片島 京介』さん。井戸端会議でも有名なぐらいに有名人です。その明朗快気な行動と分別を分けた指導力と、未亡人から既婚者まで結婚したい人。No.1ですからね。」
 そこで、初めて京介の噂を聞いた純一。だが、同時に『明朗快気』が『滅入ろう怪奇』と思ったのは頭の片隅に置いておいた。
「そこまで、親父って凄いのか?」
「そうですね。凄いですね。強きを挫き、弱気を愛すを体現した人です。」
「へぇ、意外だ。親父の事だから、いつも勝手に突っ走って、迷惑かける人だと思ってたけど。」
 そう、いつも家では飄々としてトラブルを巻き込むタイプだった。
「そこはやっぱり家庭の顔でしょうね。子供に大きな負担をかけたくないと思っているのか。井戸端会議に出席しては『純一君には内緒ですよ』って言っているぐらいですから。」
 そこで、やっと京介の偉大さがわかる。
「う、うぅん。」
 そこで、楓がうめき声をあげる。
「御嬢様も起きそうですね。では、邪魔者は退散しましょう。」
 そう言って、奏は部屋から出て行った。。
「あ・・・・・・。」
「あ、大丈夫ですか?」
「あ、うん。大丈夫だよ。ありがとう、手当てしてくれて。」
 純一は優しく言う。
「えっと、楓さんでいいんだっけ?」
「呼び捨てでいいですよ。純一さん。」
「え?何で俺の名前を?」
「身分証を見たって言うのもありますけど、同じクラスなのに知らないんですか?」
 純一は、はと思い出す。こんな綺麗な黒髪をした女の子はいただろうか。
 そして、純一はクラスでは有名人。有名と言うか変な父親を持っていて有名である。しかし、それをネタにしなくてもいじられやすい性格の純一だ。
「うーん。ごめん。」
「あ、いや、いいんです。そんなクラス全員の名前を覚えているなんてありえませんからね。」
 そう言って、乾いた笑いをする楓
「しっかし、凄い家だね。」
「えっと・・・・・・吉川って名前に覚えありませんか?」
 そう言われて、考え込む。
「うーん、吉川・・・・・・吉川・・・・・・吉川エレクトロニクス?」
「そうですよ。」
 そう言って少し残念そうに言う。
「へぇ、凄いね。」
「凄いねって。それだけですか?」
「どういうこと?」
 純一はイマイチわかっていない。
「例えばですけど、私に迷惑かけたら社会的に抹殺されるとか?」
「いや、全然、そう言うことは思わないけどな。」
「え?」
 一瞬、楓は純一を馬鹿だと思ってしまう。
「別にいいんじゃないの?迷惑かけるぐらいはさ。そんな一線引くような事してたら友達なんてできないよ。」
 その言葉に純一の大きさに圧倒されてしまう。
「嫌なことだったら、そうかもしれないけどさ。俺も楓さんも同じ人間だよ。そんなこと気にする必要ないじゃないか。そんな事いったら、俺が助けたのは迷惑だったかい?」
「いや!そんなことはないです!逆に感謝したいぐらいです!!」
「だろ?だから、そんなの気にする必要はないね。誰にしろ俺は助けに行ってたよ。」
 寛大だった。楓の眼からは純一が大きく見えた。父親が有名で純一も有名な片島親子。父親、一人で育ててここまでたくましく育った。
「あとさ、こんな事いったら台無しだけどさ。」
 純一は少し申し訳なさげに言う。
「これ、親父の受け売り『人がやっているからって、自分が悪いと思ったらやっちゃいけない。自分の意志で行動して、自分が正しいと思った行動をしなさい。もし、間違っているなら、僕や他の人が正してくれるからね』って言ってたからさ。」
 そう言って純一は少し照れながらも言う。
「純一さんのお父さんは、どんな人なんですか?」
「うーん。いっつも家ではふざけてるんだけど、真面目な時はとことん真面目、節度をわきまえてる人だね。ま、だけど、いつもがいつもふざけてるから真面目な時なんて、最近は数えるぐらいしか見てないけど。」
 純一は少し寂しげだったが、そんなに抱えてる様子はない。
「じゃあ、一つだけ聞かせてください。」
「なんだい?」
「私が社長令嬢でも差別はしないんですか?」
 純一はその質問にぽかんと口を開けてから、我に返る。
「ぷっ、くくく、あははははは・・・・・・。」
 と、こらえていた笑いを耐え切れず笑ってしまう。
「何がおかしいんですか?」
 少なくとも楓にとっては大事な質問。
「ごめんごめん。そんなの聞くまでもないけど、一応、言っておくけどね。」
 純一は息を整える。
「俺は差別って事を重い意味で知ってるつもりだよ。俺もね。ああいう父親だからいじめられたこともある。そして、母親がいないからいじめられたこともある。」
「え?いないんですか?」
「うん、どうやら、国会議事堂に行ってから帰ってこないらしいんだ。」
「は?」
 そう言ってから、楓は純一の話を聞きなおす
「いえ、続けてください。」
「あ、うん。だから、いじめるって事は差別するって事だろ?だから、逆にいじめてる奴は憎いし、いじめられてる奴は可哀想だから助けたいと思う。変かな?」
 純一の優しさは同族の為に動く。「強きを憎み、弱気を愛す」の精神だ。見事にそれは受け継がれている。
「いいえ、全然、変じゃないです。立派です。」
「い、いや、そんな大層なことじゃないよ。」
 そう言って、純一は照れ笑いをする。
「ははっ、さて、もう大丈夫だから、帰ろうかな。」
「あ、はい。今日はありがとうございました。」
 そして、純一は家に帰ると

「あ、お帰り〜。」
「親父!チェアー!!」
「はっ、はい!!」
 そう言って、イスに座る。
「ガラスの窓割らなくてもポストの中に入れておけばよかったじゃねぇか!!」
「いや、ポストだったら気が付かないし、一番、安定してるのはこれかなって思ってね。」
 京介は少し悪びれた表情で言う。
「だから、いっつも奇天烈な行動はやめろって言ってるだろ!!」
 これがいつもの片島家の家庭だ。崩れることはまだ先の事だろう。
「ごめんごめん。次からはもうちょっと方法を考えるよ。」
「ああ、そうしてくれ。」
 そう言って、純一は立ち上がる。
「御飯できてるけどどうする?」
「あー、食べるよ。せっかく作ってくれたしな。」
「無理しないでいいよ。あっち側で食べてきたんだったら、明日の弁当になるしね。」
 京介は純一の事をわかっている。無理をさせない。それだけは京介が内に秘める思いだ。
「うーん。じゃあ、そうしてくれ。」
「わかったよー。」
「なぁ、親父?」
 純一が部屋に戻る前に振り返る。
「なんだい?マイサン?」
「親父ってどんな仕事してるんだ?」
「単なる公務員だよ。」
「色んなところ歩き回ってるのに?」
 腑に落ちない。だから純一は再度聞く。
「何言ってるの?僕は汚れ仕事のプロ。謝罪屋さんだよ。」
「なんだかなぁ。」
「ま、キミはキミの道で行けばいいさ。僕は危ない仕事じゃなければ、反対はしないよ。」
 京介は台所で作業をしながら言う。
「飛脚とか?」
「馬鹿だねぇ。本当に馬鹿だ。馬鹿すぎて笑っちゃうよ!アーヒャッハッハッハッハッハ!!!」
 と、馬鹿笑いする京介
「なっ!親父!!」
「純一くん、それぞれの職業を馬鹿にしてるでしょ。彼らは彼らなりに誇りを持って仕事をしてるんだよ。それをけなしちゃいけないよ。」
 そう言われて、気付く純一。その通りだ。汚れ仕事じゃない。ちゃんと自分に正義と誇りを持って仕事をしているのだ。それを馬鹿にしちゃいけない。
「ゴメン、浅はかだった。」
「そうだね。僕も言葉足らずだったね。僕が言っているのはこういう人の事言っているのさ。」
 そう言いながら京介は頬に指をなぞらせる。それはヤクザの事だ。
「あ、ああ、そういうことか。ゴメン。」
「ま、彼らには彼らなりの誇りがあるんだろうけど、僕はそんなアブナイ仕事にはつかせたくないだけ。」
 京介はそう言って洗物を食器棚に収め始める。
「ほら、疲れてるんでしょ?寝た寝た。子供は寝ろ。混沌に巻き込まれちゃうぞ。」
 その言葉にイラつきを覚えながらも純一は京介に感謝して眠りについた。

 そして、現在。
「ま、そんなわけよ。」
「いや、出会ったのはわかった。じゃあ、どうやって付き合ったんだ?」
 達郎の言うことは最もだ。
「うーん。なんだっけ?」
「私の猛烈なアタックに負けたんですよね?」
 突然、現れる楓に2人は驚く。
「おわぁっ!吉川嬢じゃないか!?」
「純一さん!どこに行ってたんですか!?山下先輩が探してましたよ!!」
 ぷんすかと怒る楓だが、それほど怒っている様子でもない。
「また、勧誘だろ?ほっとけって。」
「いや、今度は『勧誘が駄目なら、誘惑してやる。』って言っていましたよ。」
 それで探している楓もどうかと思われる。
「なおの事、タチ悪いわ!!」
 思わず楓に突っ込みを入れてしまう。そして・・・・・・。
「あ、悪い。達郎。傷心の身なのに。」
「あ、いや、気にするな。俺も新しい恋を見つけるさ。」
 実は純一と達郎は、達郎の慰めを兼ねて喫茶店に来ていたのだ。
「亘理さん。次もありますよ。」
 楓は気休めながらに慰めようとするが
「んな、人生の勝利組に言われたくないわー!うわーん!!」
 そう言って、走り去っていこうとするが、女の人とぶつかってしまう。
「あ、すいません!」
「おうおう、どこみてんのじゃー。電子炊飯器ジャーか?おんしはー!?」
 と、棒読みで言う女の人
「あ、神奈義さん?」
「あ、いたいた。純一くん。私の愛しい京介さんを知りませんか?」
 はろーと言わんばかりに大きく手を振る恭子。
「いや、知らないですよ。って言うか、よく俺のいる場所わかりましたね。」
「うーん。やっぱり、将来の息子の居場所ぐらい。判っておかないと。」
「いや、親父まだ未婚ですから。」
 そう言って純一は突っ込む。
「中々鋭いツッコミね。で、京介さん知らない?」
 神奈義 恭子、純一に取っては会社の同僚だと思っている。しかし、実際関係は上司と部下だ。
「知らないですね。どーせ、また、仕事サボってるんでしょう?」
「いーや、仕事はしているよ。他のサー・・・・・・いやいや、会社に周ってるらしいからね。ちょっと、携帯忘れていったみたいで。」
「ま、会ったら、一度会社に戻るように言っておきますよ。」
 そう言って、純一は言う。そして、突然に
「お、お姉さん!お名前は!?僕は純一君の親友の『亘理 達郎』って言います!!」
「ごめんねー。私、年下には興味ないのよ。」
 玉砕。その一言に尽きた。純一と楓の眼には砂のように風解していく達郎の姿が見えた。
「恭子さん。だから、親父狙ってたんだ。」
「お義父さんって、私達より年上の人には人気ありますからね。」
 純一は頷いて、達郎を見る。
「おーい、達郎。戻ってこーい。」
 棒読みながらも達郎を呼び戻す。
「俺って、女運ないのかな?」
「いや、単に相手が悪かっただけだって。」
「そうか!そうだよな!次もがんばる!!」
「がんばれ!」
「がんばってください!!」
 そして、彼女ができるのは、また、先のお話。

 純一が帰宅すると
「お帰りー。」
 と、アロハシャツと短パン姿をした京介が、ベランダでチェアーに腰掛けながらトロピカルジュースを飲んでいた。季節は初夏だが寒さは、まだ残っているのに見上げた根性だ。
「神奈義さん。探してたぞ。」
「あ、いいよ。直帰するって言っておいたし」
「いや、そうじゃなくてだな。携帯忘れたとか。」
「大丈夫、あれ、ダミーだから。」
「んなもん、置くなよ!!」
 今日も今日とて我が行く・・・・・・。

 後書きっぽい、後書き
 今回はちょっとネタにも走ってます。京介の『黙って子供は寝ろ。混沌に巻き込まれちゃうぞ。』
 知っての通り、知らぬなら、知ってくれたら嬉しいな。の月姫の事でございます。わからんって、じゃあ、部分的に『寝ろ。混沌』で、わからなかったら・・・・・・まぁ、仕方ないでしょう。
 ということで『純一君と楓の出会い系』楽しんでいただけましたでしょうか?今回はちょっと熱血っぽい展開でやってみました。まだ、実際には山下の仮御嬢とドンパチやらかすものではありませんがね。まぁ、前振りだと思ってください。ここから、凄まじいぐらいの展開が!!




 あるかもしれない・・・・・・。


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