『あなたは後悔しない?』
「後悔するかもな。だけども、これは俺が決めた道」
『ふぅん。まぁ、私は別に構わないけどね。』
「おとなしく黙っていろ。仮にもおまえは俺をマスターとして決めたのだろう?」
『そうね。でもいい加減。現界させて欲しいわね。』
「一段落したらな。黒いローブの集団。下手したら、おまえの力も俺の力も狙われている。」
『そうね。期待しないで待ってるわ。』
Thread Mission
血の臭いと謎の信仰者
彼らはカリウスの無法街、闇夜の巣窟にいた。
「で、どうする?この状況?」
「さぁな。」
「おまえ達‥‥‥なんのようだ?」
緩矢と光山は複数の無法者達に囲まれていた。
「ちょっと、人を探しにな。『玲奈』と言う人物は知らないか?」
そう言った瞬間、周囲の目の色が変わった。
「‥‥‥し、知らない!そんな奴は知らない!!」
明らかに挙動不審な様に、光山は確信する。
『この先に玲奈はいる。』
だが、光山は戦闘態勢にも入らず、軽いため息をつき
「そうか、なら、諦めて帰ろう。」
「「「「「「「「え?」」」」」」」」
光山はそう言って身を翻す。
「どうしてよ!光山!?妹さんに会いに来たんじゃないの!?」
「だれがそんなことを言った?俺は妹を助けに来た。別に助ける必要がなかったら、どうでもいい。確認したいのも山々だが、それではここの住民達といざこざが起こる。そんなのはごめんだ。あんた、玲奈という人物はいい人間なのだろう?」
光山はさりげなしに適当な人物に聞く。その言葉にハッとする住人だが開き直ったのか、そのまま口を開く。
「あ、ああ。そうだ。だから、行かせるわけにはいかない。」
「ほらな。なら、ここに用はない。では、帰るか。」
そう言って光山は人の間を通ろうと立ち止まり
「避けてくれないか?」
光山の言葉にモーセの十戒か、人の波がまっぷたつに分かれる。
「あ、あんた!名前は?」
一人の男の子が光山に訪ねる。
「‥‥‥はぁ、本来なら、自分から名乗るのだが、いいだろう。俺は『Stranger』ランクの『S』に在する者『紅黒の疾風』だ。」
すると、周りの者が『Stranger』の言葉を聞いて殺意のこもった目で見る。
「‥‥‥やはりな。帰るぞ、緩矢。いつ襲ってくるか、わからんからな。」
皮肉じみたことを言って、光山は人の波に消えようとしたときに体を少し後ろに向き
「坊や、君の勇気はこんなものじゃない。そして、空が、刻が、君の味方であることを祈っている。故にその先に有る無きことなく、くじけないように‥‥‥。」
光山のまじないじみた言葉に一斉に殺気が消え去った。
「な、なぜ、その祈りを‥‥‥。」
「ん、これは俺がいつも使っている『願いの言葉』だ。これは伝承に現れる言葉の一つだがな。追加章節まで言うかい?」
光山はそう言って闇夜の巣窟を消え去った。
その後の人間達は顔を見合わせあい。
「な、なんですって!?」
「おそらく、間違いないと思うよ。」
とある場所でとある女性と少年が話していた。そこは夜のためか、あまり家具は見えないが、そこには殺風景にベッドしかなかった。女性はそのベッドに座っていて、少年は立っていた。
「じゃあ、ケインくん。その人に羽根は?」
「いーや、無かったよ。でもさ、だいぶ、時間が経ってるんだよ。そんな覚えてるわけ無いじゃん。」
ケインという少年の言うことに間違いはない。かれこれ、生き別れてから13年の月日が経っている。容姿も変われば、性格も変わっている。それで、今あっても昔の面影は無いかもしれない。昔の面影があったとしても13年前に起こった悲劇で変わり果てているかもしれない。
光山は一人で生き。玲奈は旅に流れてここに定住するが出来た。明らかに時が流れすぎたのだ。
「‥‥‥今度、その人のことを調べてもらえる?」
そう言って女性はベッドに腰掛ける。
「わかった。誰の名前があればいいの?」
「『光山 陣』というの、私の兄さんは‥‥‥。」
「うん。じゃあ、今度、仕事行くときに調べてみるよ。」
そう言って少年はドアに掛けだして行く。そして、心配そうに女性を見る。
「お願いね。」
「うんっ!!」
そして、少年は部屋を出て行く。
「‥‥‥兄さん。」
女性は窓から蒼く輝く月を見た。
その日、光山は任務で『闇夜の巣窟』のようにゴロツキが住む無法街と対を成す『混沌の巣窟』に来ていた。
そして、そこには一人の男と光山がいた。
男は行き止まりに追いつめられてへたり込み。光山は剣の切っ先を男につきだしていた。
「‥‥‥スレイア・アドバード。悪いがAArt『グラムブレイン』を返して貰う。」
「ちっ、これでいいのだろう。」
そう言ってスレイアと呼ばれる男はAArt『グラムブレイン』を光山に差し出す。
「そこにおけ。」
そして、光山は剣を納める。男はそれを隙だと思ったのか、横に抜け出す。だが‥‥‥銃声。スレイアに当たらなかったモノの頬をかすめていた。
「剣を納めた理由は別だ。拾う際に隙ができるからな。銃の方が拾いやすい。覚えておくといい。」
そう言って光山がグラムブレインという宝玉を取り出す。
「‥‥‥ふむ。では、同行して貰う。」
「ぐっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
スレイアは悲鳴と同時にばたりと倒れる。
光山は少し動揺したがスレイアに駆け寄って脈を調べるが
「ちっ。」
息もなく死んでいた。
「‥‥‥。」
そこにたたずむ肉塊に光山は
「安らかに眠ってくれ。」
そう言って、光山はスレイアを壁に腰掛けさせて、その場を去る。
そして、光山はST支部に来ていた。
「そうか。死んだか。で、モノは?」
「これだ。AArt『グラムブレイン』。持ち主の生命反応により、脳の回転数が変化する道具。」
「うむ‥‥‥確かに受け取った。そして?あの妹さんの件はいいのか?」
「ああ、すこし手がかりが見つかってな。」
そう言って光山はST支部から報酬を受け取って外に出ると、とある少年が立っていた。
「どうした?」
その少年は先日、光山に名前を聞いてきた少年だった。
「ちょっと、来て欲しい。」
「‥‥‥いいのか?俺はもしかしたら悪人かもしれない。もしかしたら玲奈という人物に力を奪いに来たかもしれない。」
光山はわざとらしく言うが
「自分から言う人ほど悪人じゃないよ。」
そう言って、走って案内する。
「早くはや――――。」
と、言いかけるが、光山との距離は変わっていない。
「言う必要は無いみたいだね。」
「気にするな、先に行くなら行ってくれ。」
そう言って少年は全力疾走で行くが、光山との距離は変わらない。少し、不快感と不気味な気分を味わうが、気にせず走って案内する。
そして、到着した先はこぢんまりとした教会だった。
「俺は神に信仰するほどの心身深くないのだが‥‥‥。」
光山は少し、面倒くさそうに頭をかく。
「そう言ってないで、着いてきてよ。」
少年は教会の奥に入っていく。
「あ、ケイン君。どうしたの‥‥‥そして、その男の人は?」
そこにはベッドに座っている女性がいた。
「お姉ちゃん。連れてきたよ。」
「‥‥‥ふむ。そう言うことか。元気にしていたか?『白雪 玲奈』‥‥‥いや『光山 玲奈』」
そう言って、光山は言うが、その言葉は和やかで優しい声だった。
「兄さん?陣‥‥‥兄さんなのね?」
「ああ、俺は『光山 陣』。誰にもこの名は譲れない。そして、これが唯一無二の俺だ。」
光山はそう言う。そして、玲奈は立ち上がって光山に駆け寄って胸に飛び込んだ。
「兄さんッ!!」
玲奈は光山の胸で泣きじゃくる。
「元気していたか?」
「うん」
「つらくなかったか?」
「大丈夫‥‥‥ここの人達がいい人達だったから‥‥‥。」
「そうか。」
光山は少し満足げに口元に笑みを浮かべる。
「兄さんこそ、元気していた?」
「無論だ。」
「寂しくなかった?」
「もちろんだ。」
「本物?」
「おまえはバカか?」
突拍子な質問にあきれて言う。
「‥‥‥うん。この人はお姉ちゃんの兄ちゃんだと思うよ。なんて言うかニオイが同じって言うか‥‥‥なんというか。」
ケインは口を濁す。
「けど、血の臭いもする。」
その言葉は空気を凍らせた。そして、光山は諦めたように口を開く。
「ああ、生きていくためだ。」
突然、玲奈は光山を突き放す。おそらくは、血の臭い。潔癖性と言うべきか。その臭いをした人間に耐えられないのだろう。
「悪かったな。こんな兄に成り果ててしまって‥‥‥じゃあ、失礼する。くじけるなよ。そして、何かあれば呼ぶといい。」
光山は少し、残念そうな表情になったが、それは一瞬。そして、その場を立ち去ろうとする。
「ちょっと待って!!」
だが、光山はその言葉を聞かずに教会の外へ出て行く。それを追って玲奈も追うが、教会に出た途端、光山の姿は無くなっていた。
「‥‥‥兄さん。」
そして、光山は遅くに家に帰ってきた。
「ただいま。」
光山は少しフラフラしながら家に帰ってきた。
「「え?」」
そこには家では見慣れぬ女性が一人、椅子に座っていた。
「フィルシアさん。どうしたんだ?」
「いやー、たまたま、詩穂に出会ってね。家まで連れてきて貰ったんだ。」
「二人とも知り合いだったんだ?」
緩矢はフィルシアと光山の反応に少し驚く。
「ん、学校で同じクラスだ。」
「へぇ〜。じゃぁ、教科書を見せて貰ったわけ?」
「ああ、初日だけな。」
そして、光山はフラフラと台所に立つ。
「あ、そうだわ。情報を手に入れたわ。玲奈さんの――――――。」
「悪い。玲奈は見つかった。飯食っていけ。今日は遅い。」
光山の力のない言葉に
「‥‥‥どうしたの?光山?妹さん、見つかったのに嬉しくなさそうね。」
「あ、ああ、気にするな。たまに鬱になるんだ。」
光山は「ははは」と乾いた笑いを放って料理を作り始める。
「‥‥‥どうしたの?」
「さぁ?」
緩矢とフィルシアはヒソヒソと光山の様子を観察する。
「もしかして、実は玲奈さんにとって嫌なことを光山がしていたりして」
その言葉の瞬間「ドン」と、ナイフがまな板に刺さる。
「おまえたち、料理と一緒に自分の血もすすりたいなら、俺は遠慮しないが‥‥‥‥。」
光山はギロリと緩矢とフィルシアの方を殺意の目で見る。
「い、いえ!なんでもないです!!ねぇ、詩穂!?」
フィルシアはあわてて緩矢に同意を求めるが、それとは別に緩矢は光山を同じような目つきで対抗する。
「‥‥‥図星って事よね。」
「ああ、その通りだ。」
光山の肯定しない態度、その文句も別に構わないと言わんばかりの表情に
「‥‥‥いいわ。そのことについては追求しないであげる。でも、家に入ってきたときぐらい。そんなそぶりを見せないでよ。」
「わかった。すまなかったな。」
光山は頭を下げて謝る。
「今日の料理は?」
「三色丼だ。」
「‥‥‥ねぇ、詩穂は料理しないの?」
フィルシアは思いついたかのように緩矢に聞く。
「うん。かれこれ、自分でしたのは8年前かな。」
「‥‥‥ふーん。でも、料理はできるようにした方がいいわよ。まして、彼のためにも」
フィルシアは下世話な表情で緩矢をつつくが
「あう。8年前、料理を家族に食べさせたけど、それ以降、料理作るなって言われてるのよね。」
だばーっと涙を流す緩矢にフィルシアは汗ジトで
「あははは‥‥‥。」
「気にしないで、人には得手不得手が有るモノ‥‥‥。」
「え、ええ、そうね。」
そうして、がっくりとうなだれる緩矢。そうしてる間に光山の料理はできていた。
「‥‥‥おいしい。」
「‥‥‥ええ、なんか心がこもっているって言うか。隠し味とか?」
「別に、純粋にレシピ通りに作っただけだ。」
光山はそう言って黙々と食べていく。
「レシピってどのくらいあるの?」
「‥‥‥2000種ぐらいか?ある程度のモノなら作れる。」
と、二人はスプーンを落とした。
「‥‥‥化け物ですか!?この人は!?2000種って、人の量を超えてるよ!!」
「ってか、主夫よ!完全に主夫!こんな無愛想が主夫よ!!」
光山はその言葉に貶しを感じつつも黙認して食事をする。
「‥‥‥ごちそうさま。食器は水につけておいてくれ。朝には洗っておく。」
「どうしたの?」
「勉強だ。」
そう言って光山は二階に上がる。
「‥‥‥天才って訳ではないのね。」
「そうね。日夜隠れた努力の成果がアレなのね。」
と、二人は感心しているが‥‥‥当の光山は窓から外に出て、住宅街の外れの公園に来ていた。
「全く、後をつけるというのは感心出来ないな。まして、屋根の上から監視とは‥‥‥。」
そこに現れたのは、昼間に玲奈の所まで連れてきた少年だった。だが、明らかにおかしいことがある。屋根の上に登れるのは光山の部屋の窓か、ベランダからだ。しかし、この少年は今から直接見える玄関や足音をクリアしてここまで来ているのだ。しかし、魔法術の使用を除いては‥‥‥。
「ごめんね。兄ちゃん。」
だが、光山は剣を抜く。
「どうしたの?子供相手に怒った?」
「何を言っている?俺は、ガキに用はない。ガキの皮をかぶった貴様に用がある。」
そう言って光山の剣に切っ先は子供に向けられる。
「悪いが俺の目はまだ年老いていないのでな。」
光山はそう言って手のひらに赤い光の塊を発生させる。
「‥‥‥なんだよ。その魔術!?」
だが、光山の手のひらから違う色の光の塊が、どんどんと精製されていく。
「悪いが、貴様のその邪悪、振り払わせてもらう。」
少年は先手を取らんと言わんばかりに光の矢を放つ。
「無益」
その光の矢は消え失せる。無効化されたのだ。
「くっ。」
「悪いが、面倒は嫌いだ。大技は威嚇。貴様を寸分違わず 討ち取らさせてもらう。」
そう言うと、少年の目に見えていた光山は瞬間に消え失せ、上空から出現する。
「そこか!!」
と、光の矢が光山を射る。だが、霧のように消え去ってしまう。
そして、何度も少年は光山の残滓を射る。
「終わりだ。」
光山の実態が姿を表す。だが、少年の魔力は尽き果てていて攻撃すべは残っていない。
「くっ、あんた何者だ?」
「俺は『紅黒の疾風』‥‥‥Stranger Rank:Sに位置するモノだ。ではな。」
そう言って光山は霧の如く姿を消す。
「くっくっく、そうか。貴様が、第二の要か。だが、私の使命は終わった。今頃、教会と妹の家はどうなっているだろうね?」
「!?」
光山はその少年の言葉に脱兎の如く走り出す。
光山が走っている先に
「風見!?」
風見が紙袋を持って歩いていた。恐らく、買い物の帰りだろう。しかし、夜も更けている。いったい、どんな買い物かは風見しかしらない。
「風見!?頼む、力を貸してくれ。」
風見は光山のその焦った表情に意を察する。
「わかった。何をすればいい?」
風見と光山は一度、風見の家へ走り出す。
「闇夜の巣窟の教会を知っているか?」
「‥‥‥ああ、知っている。こぢんまりとした教会だが、信仰者は多い。」
「なら、そこに向かってくれ。そして、黒い髪の女性を助けてくれ。」
「わかった。まず、この荷物を置いてすぐに向かう。」
「頼む。俺は家に行く。」
「電撃作戦か!?」
「そう言うことだ。」
光山が家に到着したときは、黒いローブの人間達が取り囲んでいた。そして、光山を見つけると、すぐさま、襲いかかってきた。
すると、光山は銃をコートの下のホルスターから取り出し、剣を引き抜く。そして、宙へ飛び上がり玄関前に立つ。
「かかってこい。寸分違わず、貴様らを‥‥‥」
光山は銃を構え、剣を逆手に持つ。
「討つ‥‥‥。」
すると、黒いローブの人間達がまるで操り人形のようにフラリと動き、攻撃を仕掛ける。
だが、光山はその動きにかかわらず、迷い無く銃の引き金を引く。
銃口は火を噴くがその火は、ただの銃弾が発射されたわけではない。魔力を込められた銃弾。そして、その銃弾は広域に広がり短距離に沈んだ。おそらくは複数の敵がいるときに最適な銃弾なのだろう。その銃弾で、銃口から見える範囲の人間達を撃ち抜いていく。いわば、ハンドガンの形をしたショットガンだ。
「どうしたの?」
と、緩矢とフィルシアが玄関から出てくる。
「ばっ!逃げろっ!!」
そう言った矢先に黒いローブの人間達は緩矢達に標準を合わせる。
襲いかかる黒いローブの人間達だが、光山は瞬時に緩矢達のいる玄関の上に飛びつく。そう、壁に張り付いたのだ。
「炎よ。我が力に従え!!大いなる炎よ!その力、我が力のために服従せよ!!」
その言葉から光山の目の前に魔法陣ができる。そして、魔法陣から槍のような炎と風の槍が複数の黒いローブの人間達に襲いかかる。
「いったいどうしたの!?」
「わからん。だが、俺たちの命を狙っているのは確かだ。」
「私たちも―――――――――。」
緩矢達が魔法術の紋を構えようとしたとき
「邪魔だ。家の中でこもっていろ。」
そう言って、光山は敵の群れに潜り込み剣が奔らせ、銃が火を吹く。
その縦横無尽に動き、敵をなぎ倒していく。
「カチッカチッ」と、銃の弾切れの合図。光山はその持っている銃のマガジン(弾倉)を銃にいれたまま遠心力で相手に投げ、さらに銃を相手に投げつける。
「キリがないな。」
光山はホルスターから再び銃を取り出すが一丁しか出てこない。
「鋼よ!我が力に従え!!力よ!我が願い、かなえとどけろ!!」
すると、大気が光山の銃に集まり始める
「魔弾―――――――――!!」
光山は銃の引き金を引く。だが何も起こらない。それにびくりとする人影を光山は見逃さなかった。
「残念だが、ブラフ(嘘)だ。」
「‥‥‥ちぃっ!!」
光山はその声を聞き逃さなかった。瞬間、光山はその人間の上に飛び上がり、腕を振り上げて魔力の塊を地面にぶつける。
「‥‥‥悪いが、この魔術を解かないならば、死んでもらう。」
光山はその人間の首元に刃を当てつける。
「わかった。Cat(回路切断)」
「‥‥‥よし、では、次はただじゃ済まない。その身に刻んでおくんだな。」
そう言って光山は身を翻して、家に戻る。
「なんで、無茶したのよ!?」
「そのつもりはない。その前に聞きたいことがある。」
「‥‥‥何よ?」
「人を殺す覚悟はあるのか?」
その光山の言葉に二人は硬直した。
「やはりな。その心構えで撃退など、甘い考えを持つな。」
光山はそう、さらりと言い退けて二人の横を通り過ぎて二階へ上がっていく。
「‥‥‥。」
「詩穂?」
「‥‥‥確かに、今回は浅はかだったわ。」
緩矢は頭を下げて考え込み始める。
「ねぇ、フィル?こんど、私と遺跡に行かない?」
「え、ええ。いいけど‥‥‥。」
「じゃあ、来週の休日にゼファリア遺跡の前で」
ゼファリア遺跡‥‥‥この遺跡は遺跡都市カリウスの中で一番、年代が薄い遺跡で地下という文化が無かったためか。単なる大きな神殿になっている。だが、重要文化財と指定しているためか取り壊されないでいる。しかし、重要文化財とされていても出入りも可能だし発掘も可能とされている。この国にとっての重要文化財は新たな発展の意を込めているらしく、まだ、ゼファリア遺跡自体に謎があるということだ。
「‥‥‥じゃ、私は帰るね。」
「うん、気をつけてね。」
光山はまた、窓から外に出ていた。そこで、ばったりフィルシアに目撃される。
「‥‥‥どうしたの?」
「悪いが、電撃作戦を行われていてな。準備は完了したから今から向かうつもりだ。」
「妹さん?」
「‥‥‥否定したくない自分がここにいるのが悔やましい。」
光山はそう言って空を仰ぐ。光山なりのはぐらかし方なのだろう。
「私も行くわ。」
フィルシアの言葉に
「さっきも言ったはずだ――――」
「わかってる。人を殺す覚悟はなくても、人を止める覚悟ぐらいできてる。」
フィルシアと光山の視線が交錯する。
「‥‥‥わかった。」
光山は諦めたそぶりを見せて身を翻した。
「着いてこい。はぐれても責任は取れない。」
そう言って、光山は一目散に走っていく。
光山が着いた先は闇夜の巣窟の教会だった。
「‥‥‥!?風見!?おい!大丈夫か!?」
教会の前で倒れていたのは風見と黒い服の人間達。見るに、何人かを仕留めたモノの返り討ちに遭ってしまったようだ。
「ははっ、わり、ちょっと、しくじっちまった。」
そこには、傷だらけになった風見が地面に倒れ伏していた。
「まだ、奴らは‥‥‥中に‥‥‥。」
「喋るな。フィルシア‥‥‥回復法術は?」
「使えるけど‥‥‥。」
光山は風見をそっと寝かせて、フィルシアは意を察して風見に手を掛けて
「光の神よ。大いなる癒しを‥‥‥。」
「あいつらは‥‥‥SArtを使って‥‥‥きた。」
光山はそれを聞いて
「‥‥‥わかった。『歯には歯を目には目を』だな。」
そう言って、光山は剣を抜いた。その剣は禍々しくも見えたが、それと同時に神々しくも見える。
そして、もう一本の剣を取り出す。その剣はもう片方の剣とは違って、微細に空間の歪みを醸し出していた。
「お‥‥‥最終武器だな。」
「ああ、俺はそれ以上を行く。SSS Art『聖魔剣 Absolute CrossEnd』にUnknown Art『時空剣 Eternal Force』」
しかし、光山の背中は禍々しく憎しみらしいモノに駆られていた。
その中は既に荒れ果て3人の男達が玲奈を囲んでいた。
「な、なんですか!?あなた達は!?」
「私は君に手伝って欲しいことがあってここに来た。」
男の一人は言う。
「な、なにをすれと?」
「古代の扉‥‥‥そう言えば、わかるだろう?」
「ああ、その伝説を継承したのはこの俺だがな。」
そう、そこには扉越しに片方の剣を肩に掛けて、ドアに足をかけた光山がいた。
「継承?だが、血族はこの者しか‥‥‥。」
「確かに、表沙汰になって生き残っていたのは玲奈だ。だが、あの当時の玲奈は3歳で読めても簡単な文字だけだ。だが、俺は持ち前の頭脳で、4歳でその継承と謎解きを行った。故に光山 想矢は俺に継承権を与えた。故に、力は濃くとも、完全な解除方法を知っているのは俺だけとなる。」
光山はそう言って足をおろして仁王立ちする。
「‥‥‥わかった。貴様のはったり――――――」
「なら、伝承を事細かく、説明してやろうか?」
光山はニヤリと笑って言う。恐らく、それは罠と思ったのか。
「ほう、なら、いいだろう。貴様が来い。」
「却下だな。」
即答する光山だが、男は剣を玲奈の首元に当てて
「この者の命がどうなってもいいのか?」
「できうるならな。」
光山は男達の視界から消えていた。だが、男達は光山をずっと見ていたのだ。瞬時にいなくなることはあり得ない。
「ど、どこに行った!?」
と、男は周囲を探し始める。だが、背後に注意を向けていなかった。かちりと剣のしなる音、そう、光山は玲奈の首に剣を当てていた男の後ろにいたのだ。
「‥‥‥いいのか?俺を殺した瞬間、二人は女を殺しにかかるぞ。」
男は死を覚悟している。だが、光山は高笑いをして言った。
「悪いが、この女は血の臭いが苦手でな。動きを封じさせてもらった。」
二人の男はきょとんとするが、瞬間、ぎょっとする。
「どうだ?動けないだろう。そして、表情すら変えられない。モノも聞こえない。そう、硬直した世界を目に見るだけ‥‥‥。」
「き、貴様!?何をした!?」
「別に、何もしてないさ。ただ、刻の屍になっただけだ。」
光山はそう言って男を蹴り飛ばす。
だが、男もただでは終わらない。蹴り飛ばされて着地ざまに光山に飛びかかる。
「‥‥‥行くぞ。瞬間、地獄を見せてやる。」
と、光山はその言葉を言った瞬間、ハッと後ろに気配を感じて聖魔剣を地面に突き刺して懐に入ったナイフを背後に投げる。
「ちぃっ!!」
そう、もう一人、男が隠れていたのだ。
「SArt『ステルスクローク』か。」
男は地面に煙幕弾を叩き付けようとするが
「False(止まれ)!!」
すると、煙幕弾は宙に制止する。
「なっ!」
光山はとっさに聖魔剣を持って玲奈の近くにいる男に斬りかかった。
「!?」
間合いの詰め方は尋常ではない。音速、光速、神速を超えていた。
その一撃で男はボールのようにバウンドする。そして、時空剣で宙に飛ぶ男を突き刺して、反対方向にいる男に投げつける。
「悪いな。玲奈。血なまぐさい状況になる。」
光山はそう言うと玲奈が立ちはだかる。
「‥‥‥私の前で殺しは許しません!!」
「‥‥‥。」
光山はため息をつきながら剣を納める。
「早く、ここから立ち去れ、生命の危機をさらすのは辞めるが‥‥‥精神の危機をさらす事は可能だ。」
光山の眼光は男達を貫いた。男達はそそくさとその場から立ち去った。
「‥‥‥じゃあ、気をつけるんだな。」
光山はへたりと座り込んだ玲奈を見て軽くため息をつく。そして、何事もなかったの用にその場から立ち去ろうとする。
「ん‥‥‥。」
玲奈は光山のコートの切れ端を掴んでいた。
「‥‥‥甘えるな。」
冷たく突き落とす光山の一言
「俺は、様子を見に来ただけだ。そして、たまたま、こうなっていただけの話。自分に力があるのにかかわらず、それを使わないのは単なる臆病だ。」
光山のその一言、視線、態度、それに玲奈は失望し掛けたが、言っていることに間違いはない。
「‥‥‥兄さんは、持っている力で人を殺したことがあるんですか?」
「ああ、あるな。不本意に殺したことだってある。」
光山は顔で天井を仰ぎ、倒壊していたベッドを魔法術で復元していく。
「‥‥‥なら、最愛の人や敬愛していた人は?」
「ある。」
光山の即答、玲奈は甘く見ていたのか、その答えに驚嘆する。
「ああ、俺はこの生まれ持った自分の力で、俺に母親となってくれるという人を殺した。いや、殺すことになってしまった。しかし、俺にこう言ったよ。『笑顔でいなさい』とな。未だにその理由や意味はわからない。だが、俺はそれを探すために模索しているというのは嘘の他ならない。」
光山はそう言って、教会を出ようとすると
「動くんじゃねぇ!!」
幾十人の人間達に囲まれていた。その人間達の手には武器になりそうなモノが握られている。
「‥‥‥ふむ。風見、男達は?」
「悪いが、気が付いたらいなくなっていた。」
「仕方ない。フィルシアは?」
「先に帰らせた。これなら、捕まっても問題ないだろう?」
「さすが、一度のコンビを組んだだけある。」
風見と光山は、はにかんで拳を合わせる。
「じゃ、理不尽な制裁でも与えられに行きますか。」
「そうだな。」
そう言って、二人は拳をコツンと交わせて住民達の群れに入り込んでいった。
数分が過ぎただろうか。光山も風見も傷だらけで、顔には青あざもあった。
「これで最後だ。」
と、一人の男がくたびれた剣を光山の喉元に標準を合わせる。
「‥‥‥。」
光山はその場で座り込み、まるで自分の死を迎えているようにも見えた。
「やめてっ!!」
突然の女の子の声
「その、お兄ちゃんはリムちゃんを助けてくれたの!!」
そこにはぼろ切れで人形を抱えた少女がいた。おそらくその人形がリムというのだろう。
「‥‥‥ああ、君はあの時のか。」
と、光山に駆け寄る少女
「大丈夫?お兄ちゃん?」
少女の心配そうな顔に光山は優しい顔をして
「ああ、大丈夫だよ。今まで怪我はなかった‥‥‥いや、あるね。」
光山は少女を見ると手の甲に包帯をしているのに気が付いた。
「ちょっと、じっとしてるんだよ。」
「うん!!」
光山は包帯を外して
「光よ。我が清浄なる癒しと共に偉大なる祝福をあれ。」
そう言うと、少女の腕に淡い優しい光が少女の手を包んだ。すると、少女の手の甲はみるみるうちに傷がふさがっていく。
「ありがとう、お兄ちゃん!!」
「どういたしまして。ここは危ないから早く家に帰りなさい。」
光山は優しく言葉をかける。
「うん。じゃあ、またね!お兄ちゃん!!」
元気のいい声とともに少女は人の波に消えていった。
「さて、断罪なのだろう。さっさと、俺の喉元にその剣を刺せばいい。」
と、光山は剣の刃を掴んで喉元に当てようとする。しかし、その潰れた剣で光山の喉元を当てていた男は先ほどの光景を見て戸惑ってしまう。決して、光山の目は嘘ではない。本気だ。
「やめなさい!!」
その叱咤‥‥‥教会から現れる女性‥‥‥玲奈だ。だが、その後ろにもう2人の影が現れる。
「‥‥‥緩矢?フィルシア?」
「ごめんね。けど、このままだったらやばいと思って‥‥‥。」
おそらくはフィルシアは風見と別れてから緩矢を呼びに言ったのだろう。
「はぁ、殺す気がないなら、悪いが消えてもらう。」
光山は突然、表情を、雰囲気を変える。周囲はそれにぎょっとする。
「悪いが、オマエタチニ代償を払ってもらう!!」
光山の左腕が黒く光る。
「この腕、一つでサヨナラだ。」
と、言った瞬間、光山の左腕から黒い風が巻き起こり周囲の人間達を飲み込む。
そして、過ぎ去った後には人間達は倒れ伏していた。
「なっ!光山!!」
だが、そこには光山の姿はなく怪我で倒れていた風見と住人達がいた。
緩矢が家に帰ると、光山が帰ってきている形跡があった。それに気付いて一目散に光山の部屋に行くと
「‥‥‥。」
光山はベッドに座ってたたずんでいた。
「‥‥‥いったいどういう事?」
「これで、玲奈は俺に助けられることはなくなる。」
「‥‥‥。」
「彼女は俺の第一印象も悪かったしな。血の臭いがする。由縁、俺が兄でも近づけなかったのだろう。何年も離ればなれになった人間だ。変わり果てて別人になっても仕方がない。そして、俺は最愛なる住人に刃を向けた。ならば、俺の行動に失望しても無理はないだろう。」
光山はふと笑ってベッドに寝転がる。
「‥‥‥ただ、気絶させただけで異常もないのに?」
「ああ、それでも俺は彼らに刃を向けた。」
「ああ、そう言えば満足か‥‥‥。」
光山がそう言い終えると緩矢がにやりと笑う。
「聞いていた?玲奈ちゃん。」
「それは本当ですか?兄さん?」
光山は少し驚いた表情を見せたが、すぐに真顔になって天井を見始める。
「‥‥‥あなたの自己満足で私は屈しません!!」
「そうか。」
「で、どうするの?」
「どうするもこうするも。俺はもう玲奈には何もしない。拒否されたんだ。悪いが、手出し出来る沙汰ではない。」
「‥‥‥。」
玲奈は光山を突き飛ばしたことを思い出した。光山は表情を崩さずに普通な顔で接した。普通なら喜ぶか涙を流す。だが、光山は流しもしなかったし喜びもしていなかった。無表情、無感情が光山の雰囲気を漂わせる。
「違う!あの時、離れたのは――――!!」
「うるさいっ!!」
光山が激昂する。
「光山‥‥‥。」
「悪いが寝る。邪魔だ。出て行ってくれ。」
光山はそう言って毛布にくるまった。
「‥‥‥兄さん。」
「‥‥‥。」
玲奈は心苦しそうに光山を兄と呼ぶが、光山は寝たふりをして聞いていた。
「で?光山は?」
下には風見がコーヒーを優雅に飲んでいた。
「‥‥‥だめ。完全に拒否られたわ。」
「うーん。その話の内容を聞かないと何が悪いか。わからない。話を聞かせてくれ。」
そして、玲奈は緩矢と風見に光山とあったときの内容を話した。
「で、なんで突き飛ばしたんだい?」
「なんか。感情のこもっていない人形のような気がしたんです。」
「‥‥‥はぁ、まぁ、あいつも悪いと言ったら悪いな。だが、気がつけなかった肉親である君も悪い。」
「ちょっ!風見君!いくら何でもそれはないんじゃないかな?」
緩矢はバンと机を叩いて抗議するが
「あいつ、感情表現って見たことあるか?」
そう言うと緩矢は口を閉じてしまう。そう、表立った感情を見たことがないのだ。
「あいつはかなりの感情表現が苦手でな。あいつが表情に出すのは驚きと平静―――と数えるぐらいしか表情を見たことがない。」
「え?」
「あいつは、どこかに感情を置き忘れてるんだよ。だから、あいつは喜んでいてもどんな風に笑うのか、わからなかった。言ってる意味がわかるかい?たとえ、どんなに嬉しくても表情に表れないんだよ。あいつは子供の頃から一人で生きてきた。俺はちょっと諸事情で仲良くなった。だが、それでも見たのは笑顔ではなく。期待の言葉だ。まぁ、ちょっと、引きつった笑顔を見たが‥‥‥。」
風見はちょっとにやけるが、すぐに表情を戻す。
「だが、笑顔を今日、初めて見たな。俺たちがボコられている時に女の子が光山に駆け寄ってな。なんか、ちょっと前に人形さんを助けてやったんだとさ。そして、その後に怪我をしたらしく。光山が癒しの法術で回復させた。その時に少女が蔓延の笑みで笑ったときに、光山も笑ったんだよ。」
風見のその言葉に二人は俄然とした。そして、自分の不甲斐なさに落胆を覚えた。
「‥‥‥私、光山にどんな顔して会えばいいんだろう?」
「兄さんにどんな顔して会えばいいんだろう?」
「それは、俺から言える言葉じゃないね。じゃあ、帰るね。明日も学校だからね。」
そう言って風見は家に帰っていった。
光山は次の日、緩矢も寝ている頃に学校を出た。
学校に着くと光山は教室で軽い小冊子の読み物を読み始める。
「おはよう。光山君。早いのね。」
と、一番乗りのつもりできた女子生徒が光山に挨拶する。
「ん、おはよう。」
そう言って光山は読み物に集中する。
「昨日はすごかったね〜。」
「昨日?」
光山は昨日という事情に心当たりはないと言えば無い。
「うん。なんか、闇夜の巣窟でゴロツキの派閥争いがあったらしくて、結構、ひどかったらしいでしょ。その中に戦魔神団が入ってきて、てんやわんやでひどかったって‥‥‥。」
「戦魔神団?」
「あ、そっか、光山君って、この都市に来て日が浅いもんね。」
と、女子は自分の頭を軽くこづく
「戦魔神団って言ってね。なんか、この都市に眠る封印と戦いの神を降臨させるとか言うジャンキーな宗派よ。」
「‥‥‥戦魔神団か。潰しておく価値はありそうだな。」
光山はそうボソリとつぶやく。
「え?」
「いや、こちらの話だ。気にしないでいい。」
そう言って、光山は読み物を閉じてフラリと教室から出て行く。
そして、来た先は屋上だった。策に身を乗り出して風景を見ている。
「いよっす!山さん!!」
と、フィルシアがシュビッと手を挙げて屋上に入ってくる。
「‥‥‥なんだそれは?」
「いや、なんか、親しみ込めた言い方無いかなぁって?」
「‥‥‥で、なんのようだ?」
光山の冷めた瞳に少しフィルシアは黙ったが気を取り直す。
「んー。昨日のことでね。」
「‥‥‥結構騒ぎになっているらしいな。」
「ええ、しかも、あの後に自衛団が来たらしいわ。何も事を得なかったけど‥‥‥。」
光山はそれを聞いて安堵の息をつく。
「ふむ。戦魔神団って言うのを知っているか?」
「‥‥‥やっぱり、その名前が出てきたわね。情報は有りに余ってるわ。ノート、机の上に置いておくから。」
「わかった。」
「悪いけど、情報が多すぎて真偽が確かめられないの。だから、自分なりに情報をまとめて‥‥‥できれば、それを私に教えて欲しい。」
「わかった。さすがにこれは年季の差だろう。仕方ないさ。」
無理もない。Strangerを10年間とStrangerの序の口も知らないフィルシアにとって情報収集力、収束率展開など、たとえ、フィルシアがどんなに良い筋で情報を掴んでも、まとめられなければ意味がない。だから、光山が情報をまとめた方が得策なのである。
「じゃ、私はこれで‥‥‥。」
「ああ、ちょっと待て。」
「ん?」
「風見のことは他言無用だ。そして――――」
光山は振り返って、最後の言葉を遮られ
「これ以上は言わないでいいわ。干渉されたくないのでしょう?私も干渉したくない。仇を除けば‥‥‥。」
「わかった。」
光山はその日はグレンに絡まれた程度で軽く無視をした。
「‥‥‥てっめぇ!!」
「‥‥‥。」
光山はグレンの言葉にもモノともしなかったが
「これ以上、俺をバカにするなら考えがある。」
「ほう。あえて聞いてやろうではないか。」
光山はあきれ半分で聞くが
「てめぇに妹がいるんだってな?確か、闇夜の巣窟に‥‥‥どうなってもいいのかな?」
グレンは不敵に笑む。おそらくは弱みにつけ込んでの事だろう。
「勝手にすればいい。」
光山の即答に周囲で聞いていたクラスメートも目を丸くする。
「俺の妹か。別にやりたいようにすればいい。俺は干渉しない。」
光山の突き放した言い方に周りの生徒も立ち上がって
「ちょっと!光山君!それはないんじゃないの!?妹さんなんでしょ!?ちょっと、守ってやろうという気持――――」
「外野は黙っていろ‥‥‥。」
光山の殺意と怒りの視線に一人の女子生徒はがくんと膝を折ってへこたれてしまう。もう少しいけば、あまりの殺意に失禁も免れなかっただろう。おそらくは光山本人も適度に手加減をしたのだろう。だが、本気を出せば、その視線だけで精神を破壊することも可能だろう。
「先ほど言ったとおりだ。勝手にすればいい。それだけだ。」
そう言って光山は自分の机の上からフィルシアのノートを取り、教室から出て行こうとする。
「光山君!?」
「先生。悪い。今日は気分‥‥‥いや、機嫌が悪い。すまないが早退させてもらう。」
そう言って光山は臨時講師である風見に言う。当の風見は顔に怪我の類はないが、光山が察すると
「肩‥‥‥気をつけろよ。」
と言うことらしい。
光山は昼間でST支部の司書室にいた。
「‥‥‥どうした?調べ物か?」
「‥‥‥ああ、ちょっとな。」
と、STの支部局員が光山に話しかける。
「そうか。一応、一人1時間しか使えないから気をつけてくれ。それ以上になると防犯魔術が施行される。」
「わかった。」
そう言ってST局員が司書室を出て行く。
「‥‥‥もうこんな時間か。」
光山が調べ物をしている内に一時間になるぐらいに時間は経っていた。
「さて‥‥‥。」
そう言って光山は立ち上がって書類を片づける。そして、ST支部をでて夕食の食材を探しに商店街に繰り出した。
「‥‥‥光山?」
「緩矢か‥‥‥。」
と、ばったり緩矢と光山が出会う。
「‥‥‥学校は?」
「抜け出してきた。」
「じゃ、ちょっと、付き合ってよ。」
そう言って、光山の手を引っ張る緩矢
「俺は俗世間的にもここには来るべきではないと思うのだが‥‥‥。」
「何言ってるのよ。このぐらい普通よ。」
「いや、そちらの定規で測られても困る‥‥‥。」
光山と緩矢が来たのは女性下着の店だった。
「‥‥‥帰る!!」
「わかった!わかったって!!」
そう言って悪びれた様子もなく緩矢は言う。
「なら、ここは?」
「まぁ‥‥‥問題ないだろう。」
普通のカジュアルショップだ。
「‥‥‥このシャツなんかどう?」
海をもしたTシャツを緩矢は勧めるが
「いや、これの方がたいした物だ。」
「へ?」
光山の手にあるのは『穀物(こくもつ)』と豪快に書かれたTシャツだった。
「いや、これもいいな。」
今度は『鳩尾(みぞおち)』と書かれたシャツだ。
「あー、あなたのセンスに恐れ入るよ。」
「褒めるな。何もでないぞ。」
「いや、褒めてないし‥‥‥。」
その後、光山と緩矢は公園の草原に座っていた。
「‥‥‥ねぇ。」
「‥‥‥なんだ?」
「妹さんとは――――」
「悪いが、その話を聞くつもりはない。」
「どうして?」
「気分の話だ。もちろん、俺はしばらく家に帰るつもりはない。聴覚指令について家の方にデバイスを仕込んでおいた。」
光山はそう言って立ち上がる。
「その間どうするつもり?」
「適当に‥‥‥な。」
緩矢は光山を掴もうとするが
「!!!」
何かを感づいて緩矢を避けるように全力で飛び上がる。
「‥‥‥あなた、女性恐怖症?」
「まぁ‥‥‥深い事情はな。」
そう言って光山は逃げるように立ち去っていった。
その夜、光山は家に帰ってこなかった。
「‥‥‥料理どうしよう。」
居間に一人だけの緩矢はお腹をすかせていた。
「あぅ〜、お腹すいたよー。」
そんな風にテーブルに突っ伏す緩矢だったが、玄関の方でノックの音がした。
「はーい。」
「出前でーす。」
「あれ?そんなの頼まれた覚えないんだけど…………。」
そうドア越しに言う緩矢
「えーっと、光山様宛からになってますね。」
「‥‥‥ちょっと待ってくださいね?」
そう言って扉を開けると、深く帽子を被った男がピザを渡す。
「では、料金はお支払いされているので‥‥‥。」
そう言ってそそくさと立ち去る出前の男
「はい、ありがとうございます。では、光山さん」
びくりと肩が震える出前の男
「‥‥‥。」
だが、何も言わずに、去っていった。
その後、緩矢は食事を終えると
「すいませーん。緩矢さーん?」
「あ、玲奈ちゃん?」
家に入ってきたのは玲奈だったが
「兄さんは?」
「しばらく帰らないって‥‥‥。」
「なにかしたのですか?」
「おそらくは‥‥‥。」
二人は沈黙した。そう、考えていることは同じ‥‥‥拒否した、拒否された。
「まぁ、二人の思っていることは同じさ。」
「誰!?」
そこにいたのは茶髪でラフな格好をした青年がいた。
「‥‥‥って、川島君か。」
「まぁ、それはスルーして構わないよ。」
「自分で自己紹介を流すのはどうなの?」
「そんなことはどうでもいいさ。ようは、あなた達がどう動くかが問題だね。んじゃ、ヒントは与えた。」
そう言うと川島は出て行った。
「どう動くか‥‥‥。」
「ええ、私たちがどうすれば、光山の心を止められるか‥‥‥。」
そう言って二人は悩んだ。
「きっと、私が原因なんでしょうね。」
「え?」
「初めて会ったときに私は血の臭いを発する兄さんを拒否しました。」
「‥‥‥じゃあ、それは。」
「原因はそうなんでしょうけど‥‥‥なぜ、あそこまで。」
光山が傷ついたのか。
「風見君が何か知ってるかも知れない。家に行ってみましょう!」
「そうですね!!」
そう言って二人は風見の家に向かう。風見の家は光山の家から歩いて30分したところにある。
だが、その距離でも、危険はつきものであった。
「何?あなたたち?」
黒いクロークをまとってフードで顔を隠した人間が数人ほど現れる。
「戦いの神のために‥‥‥。」
「戦いの神のために‥‥‥。」
そう言ってフードの男達は輪を狭めていくが、それと数秒に銃声がした。
「!?」
狙われたのはフードの男達だ。
その銃撃は屋根の上から乱射。だが、乱射には似使わないほどの命中率。クローク越しにも関わらず腿を狙っている。
「確実‥‥‥な射撃。光山!?」
だが、その射撃位置は闇に紛れていて、まして、遠い距離にいるので素顔が見えない。
「サングラスにマスク?」
夜目が利くのか緩矢はその姿を捕らえるがサングラスをかけているため。表情がわからないし、まして布で口元を隠していた。わかるのは血のように紅い髪の毛と黒のサングラスと黒い布で口を隠している。
そして、気がつけば、二人の周囲には地に伏した黒いクロークの人間達は倒れていた。
「‥‥‥まぁ、いいわ。風見君の家に行きましょう」
「そうですね?」
「フゲッ!ハグッ!!」
二人に踏みつけられる可哀想なクロークの一人
彼女たちの予想は間違っていなかった。そう、屋根の上に立っていたのは光山だ。光山はクロークの男達を行動不能にしてから、その屋根の上に座り込んだ。
「この髪の毛って目立つよな?風見?」
そう光山が言うと、屋根の下から風見が飛び上がってくる。
「そりゃ、言うまでもなくな。」
「ふむ。髪染めって嫌いなんだよな。」
光山は前髪をいじりながら、ため息をついた。
「仕方ないだろ。おまえの髪の色は珍しいからな。大体、真紅の色の奴なんていないだろ?」
「じゃあ、髪染めかぁ。」
「そうだな。」
光山は肩をガックリ落としてから、風見の方に顔を向けて
「あと、おまえの家の方に向かっていったぞ。あの二人‥‥‥。」
風見は腕を組んだような形で人差し指を頬に当てて
「んー、まぁ、入れる方が難しいだろう。」
光山に人差し指を振る。
「そりゃあな。結界張っているしな。」
「んじゃ、俺は‥‥‥。」
光山が立ち去ろうとしたとき、風見は光山の肩を掴んだ。
「いつまで続けるつもりだ?」
「気が向くまでやってるさ。」
「おまえなぁ。別に傷ついてもいないんだろ?」
風見は半分あきれながらに言うが
「‥‥‥少しな。」
「まぁ、十年来以上の捜し物だしな。無駄に終わったらな‥‥‥。」
「分かり切った結果だったがな。まぁ、ここらで停滞するのも悪くはないんだがな」
光山は顔で空を仰ぐ。
「おまえ、制服着るのか?」
「それなんだよな。旅の路銀はもうないし、今から稼ぐのも結構厳しいモノがある。」
「まぁ、ST維持費で結構取られるからな。」
「別に構わないんだが、あれ踏み倒し効くからな。」
「踏み倒すなよ!!」
思わず突っ込む風見
「別に、あれを払っていなくてもいいんだが、あれ払ってないとろくな仕事もらえないんだよな。」
「‥‥‥。」
そういって光山はムスッとする。
「なら、俺のところの武具屋をやらないか?」
「却下。面倒。」
「だよなぁ。おまえみたいな無愛想な人が来たら逆に客が引くわ。」
風見は愚痴混ざりに言う。
「さて、おまえは先に帰ってろ。俺はいろいろ準備があるからな。」
光山から言われると風見はうろんげな表情をする。
「気にするな。後始末だ。おまえは家にいろ。おまえの家に向かっている。」
「‥‥‥わかった。」
風見は言われて天へ向かって飛翔する。そして、屋根の上に着地する。
「‥‥‥さて、と。おまえら、まだ挑むか?」
光山は倒れたローブの集団のところに向かうと集団は起きあがる。
「光山‥‥‥陣だな?」
「その通りだ。では、質問をしよう。おまえらは何が目的だ?」
「古代‥‥‥扉。魔神、呼べば、戦乱。」
そのローブの男の言葉に光山はぴくりと眉間がよる。
「なるほど、古代の扉の目的者か。どこでその話を知ったのか知らないが、生きて帰れると思うな。」
光山は両腰に差した剣を引き抜いた。そして、右手の剣を背に隠し、左手の剣を前に差し出す。そして、軽く腰を落として前に向く。
「一も二も無駄だ。軽く、ひねってやるよ。」
そう言うとローブの集団は飛び上がって上空から攻撃を仕掛けてくる。しかし、光山の様な熟練者には無意味だった。空中から襲いかかってくる全員を両手の剣で突きと払いだけで迎撃していく。
「純粋な剣だ。魔を持つ剣では俺を討ち伏すことはできない。」
光山の持つ払う剣。名は『聖魔剣 アブソリュート・クロスエンド』。太古の昔、聖なる十字架を崩し。大いなる魔王を討ち伏せた剣。名工が作った剣ではなく。作ったのは神と詠われるほどの『聖魔剣』という名の魔剣。暗黒を絶ち、尚も神聖さえ絶つ剣。それはあらゆる属性を討ち伏せる魔剣。光山にとって、闇に纏った敵など話にならないのだ。
「‥‥‥さて、黒幕はどこにいるかね。」
光山はそう言って周囲を見渡す。そして、光山の足下には灰だらけの黒い布。彼らは人間ではなかった。何者かが作り出した人形だ。
「灰人形を使うからには相応の人間だろうがな。」
光山は虚空に呼びかける。それと同時にズサリという音がした。そして、足音が遠のいていく。光山はそれを察して面倒くさそうな表情でため息をつく。すると、光山の姿は瞬と消える。
その者は走ってい逃げていた。あのような人間があの数の灰人形を倒せると思っていなかった。
「何者だ!?馬鹿な、あの数の灰人形を倒せる人間などいない!!バカなバカな!!!!」
男は小道を走りながら、愚痴を言う。しかし、足を止める。
「残念だったな。」
そこにいたのは赤い頭髪の男。そして、手に持っているのは黒い体の銃。
「くっ!貴様!!何者だ!?」
「名乗るほどの者ではないさ。」
そう言って赤髪の男、光山 陣は銃を男の眉間に向ける。
「じゃあな。」
そう言うと彼の銃口は火を噴き。その銃弾は男の頭を貫いた。
「‥‥‥。」
男は声も上げることもなく地に倒れ伏した。そして、その死体の頭からは血の海が広がっていく。
「さて‥‥‥。」
光山は銃をコート下のホルスターに銃を納める。
「炎よ。」
光山の手のひらから炎が現れる。そして、その炎は男を燃やし尽くした。
「‥‥‥悪いな。残留思念を拾わせるわけにはいかない。」
光山はあることを危惧していた。この世の魔法術は万能に近い。そして、その魔法術の中で残留思念を拾う魔法術がある。それはその場で起こったことを読み取る法術。光山はそれを危険視して証拠を残した。
そして、光山が戻ったのは丘で囲まれた都市の外れにあった小屋で休んでいた。そこは質素でベッドしかない。あとは立てかけてあるのは剣のみ。だが、おかしいことにほかは整理整頓されているのか他の物は一切無い。薪もキッチンも何もない。本当に何もないのだ。あるのはベッドだけ。他の生活空間を否定するように‥‥‥。
「‥‥‥。」
光山は沈黙してそのベッドで横たわっていると、一つのノックがした。光山は面倒くさそうに起きあがってドアによる。
「誰だ。」
「私です。玲奈です。」
光山は手にかけていた。ドアノブから手を離してホルスターの銃を取り出す。
そして、銃をドアに向けながらドアを開けると本当に玲奈がいた。
「‥‥‥何のようだ?」
光山は玲奈を見た瞬間、一瞬驚いたような雰囲気を見せたが、すぐに正気を取り戻して銃を玲奈に向け、声をかける。
「話をしたくて参りました。」
「‥‥‥悪いが、俺から話すことはない。」
光山はそう言い捨てて扉を閉めようとする。
「!?」
光山は扉を閉めようとしたのだが、玲奈は体ごと入り込んでいた。
「残念ですが、私には話すことがあります。」
「話を聞こうか。『天使い』‥‥‥。」
光山はそう言って壁を背に床に座る。
「悪いな。何も用意してやれない。」
「別にかまいません。」
そう言うと一時の静寂が訪れた。
「んで、話とは?」
「え、いや、その‥‥‥。」
口ごもる玲奈
「用もなく来た訳じゃないだろ。」
そのはっきりしない態度に光山はいらだちを覚えながら言葉を吐く。
「‥‥‥はい。謝りたくて。」
「謝る?何についてだ?」
「その、兄さんを避けたことを‥‥‥。」
そう、兄妹の再会を果たしたというのに玲奈は陣を拒絶した。それは血の臭いがしたからだ。
「そうか。じゃあ、用は他に無いな?」
「あと、もう一つほど聞きたいことが‥‥‥。」
光山は沈黙する。それは聞いても良いと言うことだろう。
「なぜ、家に戻らないのですか?」
「注意が逸れるからだ。」
「注意が逸れる?」
玲奈の中には疑問しか生まれなかった。
「深いことは口にできない。おまえたちの中に首をつっこむ奴がいるからな。」
そう言って光山は立ち上がる。
「帰ってくれ。謝罪など俺は求めていない。まして、おまえは血の臭いが嫌いなんだろう。顔色が悪いぞ。」
光山は玲奈を見ながらドアを開ける。
「兄さん!?」
玲奈の視界にはドアの先に光山めがけて斧を振り下ろそうとする男
「何だ?」
光山はその方に見向きもせず銃を突きつけていた。
「ああ、先ほどから、こいつの事は知っていた。ずっと、玲奈を追っていたらしいな。近いうちに住処に戻るだろうと泳がしておいたんだが、こんなところでやってくると思っていなかった。」
男は動けなかった。ドアが開いた瞬間斧を振り上げて殺そうと思った。しかし、それよりも早く自分の視界に銃口が視界に入った。しかも、その銃口の中身が片目の視野に入っている。
「死にたいのなら止めない。死にたくないなら止めてやる。生きるなら去れ。」
男は苦虫を噛み潰したような表情で逃げ去っていく。
「私に手伝えることは______。」
「邪魔だ。帰れ。悪いが、おまえたちを見ているほど俺は強くない。」
光山はそう言ってドアの背に寄りかかる。非常な言葉、先ほどの言動から確かなのだが明らかな戦力外通告。それが玲奈にとって痛いものはなかった。
「せっかく、兄妹らしいことをできると‥‥‥思ったのに!!」
玲奈は顔を伏せながら部屋を駆けだしていった。
「‥‥‥。」
光山の横を通り過ぎ。玲奈の通った後に水が少し飛び散っていた。そして、光山はドアを閉め、ベッドに伏せる。
「こんなのが兄妹だと思っちゃいけない。おまえは少なくとも幸せになるべきだ。」
光山は自分に言い聞かせて目を閉じた。
次の日、光山は学校に出席していた。
「あ、光山君。詩穂が心配してたわよ。」
席が隣であるフィルシアが光山に呼びかけていた。
「ん、ああ、知っている。」
だが、光山の反応は可も不可もない。
「一体どうしたの?昨日から行方しれずとは言われてるけど、出席してたら行方知れずじゃないじゃん。」
だが、目立った反応を示さない光山。フィルシアは少し呆れる。
「別に行方をくらましているつもりはない。勝手にあちらが判断しているだけだ。俺は効率性を考えて動いているだけだ。」
そう言って光山は一冊のノートをフィルシアに渡す。
「って、言うと、何かつかめたの?」
「ああ、少なくとも、つかめた情報はある。あまり、期待はするな。おまえの手がかりになる情報を集めていただけで、戦魔神団関連は関係なさそうだったので書いていないが‥‥‥。」
「別に構わないわ。」
そう言ってフィルシアはノートを見る。
「‥‥‥これって?」
フィルシアはノートを見ると微動だに震え出す。
「どういう事よ!?」
フィルシアはノートをバンと叩いて光山に訴える。その状況に周囲の注目を集めてしまう。
「なぜ、あいつが死んでいるのよ!?」
フィルシアの敵の謎は深まっていくばかり‥‥‥。